東大・井上慶秀内野手(4年=県長野)は悔しさを隠さなかった。「何とか勝ちたかったです。最後だから、というのは特になくて、甘いボールをフルスイングしようと、いつも通り考えました」。7回1死走者なしで法大・尾崎から左前打を放ち、代走を送られた。大学野球最後の打席は安打で締めたが、試合はスコアレスドロー。今季2勝目はならなかった。

進路は社会人野球を希望している。「想像もできなかったですね」と、まだまだ野球を続けるであろう自分の未来に驚いた。2浪の末、第1希望の東大ではなく一橋大に進んだ。準硬式で野球を続けたが、宮台(現ヤクルト)が活躍する東大野球部への思いを捨てきれなかった。現役より3年遅れで赤門をたたいた。「宮台さんたちが勝ち点を取った。僕1人の力ではなく、縁に恵まれ、いろんな人に導かれている」。

社会人でも野球を続けるべく「明日から、また練習します。感謝の気持ちを忘れずに頑張ります」と口元を引き締めた。学生野球を終えた感傷よりも、もっともっとうまくなりたい。その気持ちの方が強かった。