ド派手に締めてくれ!

逆転Vを狙う阪神が26日にリーグ最終戦の中日戦(甲子園)に臨む。理想のシナリオは、勝って最短29日の「待機V」につなげ、ゲーム差なしで追う首位ヤクルトに重圧をかけること。希望の光は佐藤輝明内野手(22)で、24日広島戦では2カ月ぶりの1発が出た。最終戦を翌日に控えたルーキーは復調を宣言し、矢野燿大監督(52)はゴールテープ直前の大一番を「甲子園の決勝」と力を込めた。

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雨音が響く甲子園室内練習場は、熱気に満ちていた。1軍戦士28人が、リーグ最終戦に向けて調整。怪物ルーキーは腹をくくった。

佐藤輝 一番はしっかり勝って、そこですよね。僕たちに残されているのは、あと1試合勝つということだけ。全力で勝ち取りにいきたい。

好不調の振れ幅の大きかったプロ1年目。優勝争いの最後の最後で、ようやくアーチが出た。前日24日広島戦は、8月19日DeNA戦以来、66日92打席ぶりの24号3ラン。先制&決勝の特大弾で4連勝を呼び、優勝へ望みをつないだ。「早く良い状態にならないと、というのはあったので、残り2試合でホームランを打てたのは良かった」。たまたま出た1発ではない。完全復活へ限りなく近い状態に持ってきた。

佐藤輝 スイングにしても打球にしても「すごい良いな」という感じになってきたので、明日もそれが出せるようにやっていきたい。

久々の1本が出たことで「良いメンタルで臨める」と雑念もない。「出してもらってる以上はその責任をしっかり全うできるように、自分のできることを精いっぱいやっていきたい」。前半戦だけで20発のルーキーに“1本締め”の予感が漂う。

勝って、最短29日の優勝に臨みをつなげたい一戦は、同時に剣が峰に立たされている。仮に敗れてヤクルトがDeNAに引き分け以上なら、ヤクルトの優勝が決まる。矢野監督は「(糸原)健斗も言っていたけど、『甲子園の決勝!』みたいな。そんな感じでラスト1試合戦うことになる」と言った。その上で、ポリシーも忘れない。

矢野監督 勝つことと同じくらい大事にしたいのが「俺らの野球、タイガースの野球というものを貫く」ということ。勝ちたいという思いだけでいくと怖さも出るし、1歩踏み出せなかったりするのは俺たちの野球じゃない。失敗を恐れずに挑戦してもらいたい」。舞台は甲子園。佐藤輝が、ナインが、逆転Vへのドラマをつくる。【中野椋】