ロッテ鳥谷敬内野手(40)が10月31日、現役引退を決断した。移籍2年目の今季は遊撃手最年長開幕スタメンを勝ち取りながら1軍32試合出場で打率1割7分。7月6日に出場選手登録を抹消されてからは2軍で調整を続けていた。阪神16年間、ロッテ2年間で通算2099安打。プロ野球歴代2位の1939試合連続出場も達成したスター遊撃手が、18年間の現役生活に幕を下ろす。

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あの日、鳥谷は一瞬だけ野球少年に戻っていた。

「あれ、なんで地面たたいたか分かる?」

イタズラっぽい笑みのまま問いかけられたのは昨秋のことだ。

「レイエスだよ。大好きでさ。いつか自分もやってやろうと思っていたんだ」

元メッツのホセ・レイエス。2歳下のスター遊撃手への憧れをついに体現できたのは、真夏のZOZOマリンだった。

20年8月20日ソフトバンク戦の10回裏。2点差を追いつき、なおも2死一、二塁。安田の代走で二塁に進塁していた39歳は暴投が転々とすると迷わず三塁ベースを蹴り、間一髪で頭からホームに飛び込んだ。

サヨナラのホームインを決めた直後、感情をあらわにして両手で地面をたたいた名場面。それは長年温め続けていた夢がついに実現した瞬間でもあった。

「もう20年近く前になるかな。三塁にヘッドスライディングしたレイエスが地面をパンパンたたくのを見て、格好いいなと思って。人生っておもしろいよな。この年齢になって21歳の代走で出て、ようやく夢がかなうんだから」

チームを思い、黒子に徹し続けた2年間。「野球の神様」はささやかなご褒美もそっと用意してくれていた。【遊軍=佐井陽介】