★上原浩治氏=オリックス4勝2敗、MVP吉田正

 

短期決戦といえば、投手力があるチームが絶対に有利だと思っている。投手出身だから、そう言っているわけではない。シーズン中でもレギュラーの野手はほぼ毎日出場するが、先発投手はだいたい中6日で、中継ぎは3連投ぐらいまで。しかし最大7試合の短期決戦では、そういった“リミッター”を外せる。シーズン中より、いい投手がどんどん投げられるんだから、投手力がいいチームが有利なのは当たり前だろう。

リリーフ陣はどちらのチームの力量もあまり変わらないと思う。ただ、先発投手の顔触れを見ると、オリックスがヤクルトを上回っている。特にエースの山本の力は、現日本球界NO・1。全盛期のダルビッシュの次にくるぐらいの実力があると思う。

真っすぐ、フォーク、カーブ、カットボールの全球種が勝負球でもカウント球にも使え、同じ腕の振りで投げられる技術がある。そしてカーブは球の出どころが高く、打者の目線を変えられる効果がある。緩急だけでなく、他の球種を引き立たせ、打者にとっては非常に厄介な球種として大きな武器になっている。今季の起用も相手チームのエースと投げ合ってのもの。文句のつけどころがなかった。

そんな山本の起用法は、初戦に先発して中4日で5戦目に先発。そこから対戦結果や体の状態によっては6戦目のリリーフも可能で、間違いなく7戦目のリリーフには登板できる。一方のヤクルトはおそらく奥川が初戦に先発するだろうが、シーズン中の起用法から考えると、6戦目か7戦目の先発になるだろう。他の先発投手陣を見ても、相手打線の脅威になって3回も投げられる投手は見当たらない。ヤクルトが勝ち越すためには、なんとしも初戦の勝利が絶対条件になると思う。

予想は4勝2敗でオリックス。山本以外の先発陣も、田嶋、宮城、両山崎は強力で、初戦に勝てば、4勝1敗で決まる可能性も考えられるだろう。さらにオリックスが有利なのは、ビジターが神宮ではなく、東京ドームで開催されること。神宮のマウンドは低く、他球場とのギャップが大きい球場。東京ドームのマウンドは京セラドーム大阪のマウンドと似ていて、傾斜がきつい。不慣れなオリックス投手陣の負担は減り、ヤクルト投手陣は慣れ親しんだマウンドで投げられない。ここのポイント差もあると思う。

メジャーのポストシーズンでは、全試合で登板するリリーフ投手がいる。私自身、ワールドチャンピオンになったレッドソックス時代には、16試合で13試合に登板した。先発投手は中3日で投げる投手もいる。先発は球数を限定し、リリーフ陣も8月ぐらいまでは2連投で制限しているチームが多いが、ポストシーズンはまったく違った起用法になる。だから試合も白熱する。日本も負けないぐらい、エキサイティングなゲームになることを期待している。(日刊スポーツ評論家)

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