来季4年目を迎える矢野阪神が、17年ぶりリーグ制覇に必要なものは何か? 日刊スポーツ評論家陣が提言する「背水矢野虎 来季Vへの具体的方法論」。第5回は阪神元投手コーチの中西清起氏(59)で、退団が決まった守護神ロベルト・スアレス投手(30)の代役候補など来季投手編成のポイントを語った。

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今オフの最大のポイントは、スアレスの去就だった。流出となれば、来季Bクラス転落もありうると考えていた。それほどの問題で、退団により、大幅な戦力ダウンとなった。

代役は誰かといえば、現有戦力ではいない。球団が補強に動くのは当然で、155キロを超すパワーピッチャーの獲得が穴を埋めるための絶対条件になる。岩崎を回せばいい、という考えもあるが、そう簡単な話ではない。打線に1番から9番まで役割があるように、投手にも先発、中継ぎ、抑えに敗戦処理とポジションがある。単純に移せばいいというわけではない。特に守護神は重圧がかかり、メンタルの強さが求められる。岩崎が9回にいけば、7、8回の起用も再考を迫られる。アルカンタラはスピード面で物足りない。

次のポイントは、守護神問題とリンクするが、7回の人選だ。今季は及川が奮闘したが、来季は先発に回る。私も最初はそうしたほうがいいと思う。ただし、岩貞の状態次第だろう。ここがしっかりしてこないと、オープン戦あたりで及川を再び中継ぎで起用することも考えなければならない。もしくはドラフトで獲得した鈴木、桐敷がリリーフで使えるか。リハビリ組の島本が候補になる。

先発に関していえば、青柳、秋山、伊藤将、ガンケルが結果を残しただけに、西勇の復調、左肘を手術した高橋がどれだけ働けるかが鍵を握る。今季、投手陣はよくがんばった。それだけに、スアレスの代役、7回の人選、遥人の状態というのがV奪回のポイントになる。

例年、話題に挙がる藤浪について話したい。今年もチャンスを与えられながら、結果を出せなかった。これで3年連続で3勝以下だ。首脳陣も計算には、いれられないだろう。春季キャンプの2軍スタートもあり得る立場だ。見放すこともないが、本人がやるしかない。これは条件付きではあるが、守護神の外国人補強がうまくいかなければ、思い切って藤浪に抑えの準備をさせるのも手だ。先頭打者を四球で歩かせた時のリスクなど、もちろん不安要素は多い。それでもスピードを含めた球威を考えれば、資質はあるし、化ける可能性はある。大きな賭けになるが、適任がいなければ、一考の余地はある。