阪神は3日、梅野隆太郎捕手(30)が今季取得した国内フリーエージェント(FA)権を行使せずに残留すると発表した。同日に兵庫・西宮市内の球団施設を訪れ、残留の意思を伝えた。複数年契約を結ぶ見込みだ。梅野は球団を通じて「やっぱりこのチームで優勝したい。その思いが一番だった」とコメント。他球団の評価を聞きたい思いもあって悩んだが、腹をくくった。

    ◇    ◇    ◇

猛虎愛は何ものにも代えがたかった。梅野は3日午後にやや硬い表情で球団施設へ入り、球団にFA権を行使せず残留すると正式に伝えた。球団を通じ「今年あと少しのところで優勝を逃して、本当に悔しい思いをして、やっぱりこのチームで優勝したい。その思いが一番でした」とその理由をコメントした。

前半戦で2位に最大7ゲーム差をつけ、12球団最多の77勝を挙げながら引き分け数の差で勝率5厘差、ゲーム差なしで優勝を逃した。自身も打撃不振で終盤は坂本にスタメンを譲った。正捕手として130試合出場したが、最後は悔しい思いで1年を終えていた。

守護神スアレスはメジャーに流出したが、若返りが進むチームに魅力、可能性を感じている。「絶対にこれからもっと強くなっていく。その中心でタイガースを引っ張っていきたい。みんなと優勝したい」と熱く訴えた。FA権を行使して他球団の評価を知りたいという一選手として純粋な思いもあり熟考を重ねていた。FA申請の手続き期間は7日まで。締め切りが迫る中、残留を決断した。

シーズン中から梅野を引き留めてきた嶌村聡球団本部長(54)は「ひと言で言うと安堵(あんど)しました。来季は優勝しようぜと僕からも言った。当然、複数年契約です」とホッとした表情。ゴールデングラブ賞は3年連続で途絶えたが、173センチの小柄ながら、投手を安心させるブロッキング技術、強肩と高い守備能力を誇る。タイプの違う坂本と2人がベンチにいることで、矢野監督の戦術の幅も広がる。梅野は球団の公式ツイッターでも虎党に残留を報告し「タイガース球団で優勝しファンのみなさんと喜びを分かち合いましょう」と力強く宣言。17年ぶりのリーグ優勝で胴上げ投手を抱きかかえる。【石橋隆雄】