マスターズ甲子園2021が5日、兵庫・西宮市内の甲子園で行われ、宮崎県選抜の坂元皇太さん(18=宮崎農OB)と父栄二郎さん(51=宮崎工OB)の親子が念願の聖地でプレーした。

4日の開会式では、ともに選手宣誓を行った。この日は宮崎県選抜の一員として皇太さんは「3番二塁」で先発出場。まずは守備で先頭打者の二ゴロを軽快にさばき、1つ目のアウトを奪った。打席では空振り三振に倒れて悔しい表情も見せたが、「ずっと夢見てきた甲子園でプレーすることができて、本当に最初に守備に就いたときに涙が出てきて、この大会があって良かったな。先頭バッターで打球が飛んできた。最初は不安があったんですけど、失敗してもいいと思ってプレーしたらアウトが取れたのでうれしかった」と振り返った。

父栄二郎さんも息子に負けじと途中出場で二塁守備では併殺を奪う場面もあった。7回には二塁打を放ち、決勝のホームも踏むなど打席でも活躍。「ブラスバンドを聴いたときに思いが込み上がって涙がこぼれました。素晴らしい環境で野球をさせてもらって本当にありがたいです」と語った。

宮崎県選抜のマスターズ甲子園出場メンバーに決まった日に母たけ子さんが50歳で他界。「母親に向けても思いっきりプレーができたかなと思います」と皇太さんは母親に全力プレーだった。

さらに新型コロナの影響から甲子園大会が中止となった第102回世代としての思いも込めた。「急に甲子園がなくなった。まさか最後の夏がああいう未来になるとは思わなかった。今まで何をしてきたんだろうなと思いました」と当時を思い返した。それでもこの日はひときわ輝き、「いろいろ助けられて、お母さんあっての野球人生だったと思う。プレーしている姿を見せることが一番だったんですけど、どこかで見てくれていると思う」。

父栄二郎さんも涙を見せながら妻への感謝を口にした。「非常に思いのつまった大会で、息子と同じグラウンドで甲子園に立てたことが感動でうれしかったです。(妻には)連れてきてくれてありがとうと伝えたい。ボールも飛んできて、打席にも立たせてくれて、ヒットも打たせてくれて、勝たせてくれて、今日出会った宮崎県選抜の人にも出会わせてくれて、本当にありがとうという気持ち」。親子で聖地でプレーを終えて、感無量の様子だった。

皇太さんの将来の夢はスポーツトレーナー。「自分が高校時代にけがで野球ができない時間が長く続いたので、そういう選手を少しでも助けたい」と日々勉強中だ。最後の大会は背番号4でレギュラー出場したが、野球への思いは強く、「少しでも野球に貢献できたらいいな」と今後も野球に携わる思いを語った。【林亮佑】