来季はコーチ兼任!? 4年契約の2年目を終えた広島菊池涼介内野手(31)が8日、マツダスタジアムで4年契約3年目の契約更改交渉に臨み、現状維持の3億円プラス出来高でサインした。球団からは、来季新任の小窪哲也内野守備・走塁コーチ(36)とともに、若手の指南役を託された。決意を新たに22年シーズンへ向かう。

    ◇    ◇    ◇

菊池涼が、球団から来季の“コーチ兼任”を打診された。「僕が時間間違えちゃいました」と、当初よりも3時間早い午前10時に始まった契約更改交渉では、鈴木球団本部長から「来年は小窪がコーチの“新人”だから、一緒に頼むな。引っ張ってくれ」と、小窪コーチとともに若手の指導を託された。菊池涼は「哲さんと一緒にやっていきたい」と快く引き受けた。

まだ31歳と年齢では中堅クラスだが、経験と実績は天下一品だ。圧倒的な守備力は健在で、二塁手として9年連続9度目のゴールデン・グラブ賞を獲得。打撃では132試合で打率2割7分7厘、キャリアハイの16本塁打を記録し、自己最多タイの60打点をマークした。来季のレギュラーが確約されているのは菊池のみで、信頼は揺るぎない。若手野手にとっては、お手本となる貴重な存在だ。

球団は今季遊撃手のレギュラーに定着した小園の守備力アップを後押ししたことを評価した。鈴木球団本部長は「(二遊間で)一緒にやってるから、小園がどんどんうまくなっている」と説明。菊池涼は「小園も(林)晃汰にも細かいことはあんまり言ってきていない」と明かし「僕も1年目にぼろぼろエラーした。1軍で出て感じるものたくさんあるし、気付いてほしいのもある。経験するのが一番の成長」と話した。

来季は“コーチ”としても積極的にコミュニケーションをとっていく。「話してみて、感覚が違ったりするし、それをうまく詰めていってやっていきたい。キャンプで一緒に特守に入ってやっていきたい」と気合。「現役が被ってるコーチがたくさんいる。間に入って、何かあれば聞いていければいいかな」と潤滑油的な役割も担うつもりだ。

鈴木誠がメジャー球団に移籍する可能性が高い中、より一層リーダーとしての期待は高まる。「チームの中で選ばれてフィールドに立っている。ちょっとやそっとのことで『痛い、かゆい』言わずに、しっかりやり切りたい」と全試合出場にも意欲を示した。経験、技術を後輩に落とし込み、チームを押し上げる。【古財稜明】

 

○…菊池涼がビッグボスこと日本ハム新庄監督の思考に共感した。広島はリーグ3連覇から一転、3年連続Bクラスに沈み「Aクラスよりは優勝目指してやってきた。さみしい。勝たないとおもしろくない」と険しい表情で話しながら「ただ、ビッグボスが(監督就任会見で)『優勝は目指さない』と言っていた。また新しい風が吹いている。僕もなんか分かるような気がするな。あまり意識しすぎてもなと、あらためて思った」と感慨深げに話した。