広島森下暢仁投手(24)が、シーズンで最も活躍した先発投手を表彰する「沢村賞」獲得へ意欲を示した。

9日、マツダスタジアムで契約交渉に臨み、3200万円増の7500万円と大幅昇給を勝ち取った。今季圧倒的な成績を残して同賞を受賞したオリックスの絶対的エース山本由伸投手(23)にも刺激をもらいながら、強い覚悟を胸にプロ3年目に挑む。(金額は推定)

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森下は即答した。契約交渉を終え、黒色のスーツを身にまとい晴れやかな表情で会見場にさっそうと登場。球団では過去7人が受賞した、シーズンで最も活躍した先発投手に与えられる「沢村賞」について「もちろん取りたいタイトル。そこを高いレベルで争いたいと思っている。チーム内で抜けた成績を残したい」と強い決意を示した。

11月に行われた選考委員会では、平松政次氏が新人王を獲得した昨季の活躍を踏まえ、今後期待する1人として森下の名を挙げていた。原則的な選考基準は(1)15勝以上(2)150奪三振以上(3)10完投以上(4)防御率2・50以下(5)投球回200以上(6)登板25以上(7)勝率6割以上の7項目。今季はクリアできた項目はなかったが、受賞するポテンシャルの高さを秘めている。

今季同賞を受賞したオリックス山本には強い刺激を受けている。森下の1学年下で、東京五輪ではチームメートとなり、親交を深めた。5項目をクリアし、文句なしで選出された山本に「本当にうらやましい。どんどん並んでいけるような選手になっていきたい」と目を輝かせた。

大台の「1億超え」が見えてきた。昨年は10勝で新人王を獲得。今季は後半戦で8試合連続勝ち星なしと苦戦したが、8勝7敗、防御率はリーグ4位の2・98。球団は24試合中で19試合のクオリティースタート(QS、6回以上自責3以下)を達成したことを評価した。3200万円増に「試合をつくることが1年間通してできた。そういうところを一番評価してもらいました」と、2年連続の大幅昇給に納得の表情だ。

高みを目指し続ける。「争いを常にやっとかないといけない場所まで来た」と、昨オフに続き来季の「開幕投手」に名乗りを上げた。チームとしては優勝、日本一を目標に掲げ、個人では「防御率は投手としての評価が一番高いところ。しっかりと試合をつくって、タイトルを取りたい」と気合。チーム、そして球界のエースとなるべく、来季は他を圧倒する数字を残す。【古財稜明】