年俸5倍で昇天! オリックスのラオウこと杉本裕太郎外野手(30)が、大阪・舞洲の球団施設で契約更改交渉を行い、今季年俸1400万円から5600万円増となる7000万円でサインした。昇給率400%は球団史上7人目の大出世だ。今季は本塁打王を獲得するなどプロ6年目で覚醒し、25年ぶりのリーグ優勝に貢献。15年ドラフト10位入団の苦労人が夢をつかんだ。

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契約更改を終えたラオウ杉本は、会心の笑顔だった。「(年俸が)上がり過ぎて、昇天しながらはんこを押しました!」。印鑑を持った右手を高く伸ばし、勢いよく机に“押印”ポーズ。太っ腹なサービスショットで会見を盛り上げた。

苦労人が花を咲かせた。今季年俸1400万円から5600万円増の7000万円。昇給率400%は球団史上7人目の大幅アップだ。昨季までの5年間はなかなか芽が出なかった。「この時期は毎年、戦力外の電話を気にしていました。何年か前、非通知の電話が偶然にかかってきたり…。ビックリした」。解雇の恐怖におびえた夜を力に変え、大ブレークの時を迎えた。

今季は134試合に出場して打率3割1厘、32本塁打、83打点をマーク。25年ぶりのリーグ優勝に貢献して初の本塁打王に輝き、ベストナインにも初選出された。「本塁打王は夢に見ていたタイトル。まさか取れるとは思ってなかったです。ドラフト10位で社会人(JR西日本)から入って5年間、1軍で結果が出せなかった。それでも契約をしてくれていた球団に感謝しています」。

確実性が一段と増した打撃は、レギュラーシーズン最終打席が真骨頂だった。10月25日の楽天戦(楽天生命パーク)の9回無死一塁。打率2割9分9厘で迎えた542打席目だった。ヒットが出れば、打率3割キープ。アウトなら3割ならず…。打席直前には「四球…。セフティーバント(送りバント)で…」とやや弱気に。すると「中嶋監督が僕の方に来てくれて『後悔のないようにいけ』と」。右安打を放ち、一塁ベース上で昇天ポーズを決めた。

会見の最後は、報道陣からお決まりのせりふを求められた。「絶対、言うと思いました!」と笑った。「わが契約更改に、一片の悔いなし!」。どこまでもサービス精神満点。オリックス・ドリームを実現した遅咲きの男に、幸せの冬がやってきた。【真柴健】(金額は推定)

▼今季32本塁打と飛躍したオリックス杉本が、400%アップの年俸7000万円で更改した。球団で昇給率400%以上は、95年のイチローの900%(800万円→8000万円)を筆頭に7人目となった。杉本は15年ドラフト10位で入団。球団では01年ドラフト10巡目入団の後藤光尊が1億円プレーヤーになっているが、来季も活躍して杉本も続けるか。