歴史的大台突破! 阪神近本光司外野手(27)が17日、兵庫・西宮市内の球団事務所で契約交渉に臨み、7500万円から倍増の年俸1億5000万円で一発サインした。4年目までに1億円に到達するのは球団最速タイで、4年目までに1億5000万円は球団野手で最高額。更改後の会見ではチーム、打順、200安打への思いなどたっぷりと語った。

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ダークスーツに水色のネクタイが、そして何より笑顔が映えていた。表情を崩さず会見場に着席した近本は、質問を投げかけられると笑顔、笑顔だ。

「大台…乗りました。評価してもらって、素直にうれしいです。褒めまくられたんで、気持ち良かった」

提示されたのは、4年目の年俸としては球団野手史上最高の1億5000万円。迷うことなくサインし「お金の話は5分。評価とか個人的な話も10分」と、1時間を超える交渉のほぼ全てをチームの話に費やした。140試合出場して打率3割1分3厘、10本塁打、50打点、178安打などキャリアハイをことごとく更新し初の最多安打、ゴールデン・グラブ賞、ベストナインに輝いた1年。それでも余韻に浸ることなく、目線を仲間に向けていた。

今季も主に1番で終盤は3番も務めたが、「打順はいいっすよ。監督が決めること」と託された位置で結果を残すのみと強調する。一方、得点圏で期待のかかる中軸に「自分が打って、チームが勝ったらそりゃうれしい」とやりがいも感じた。「何でもします。どの打順でも、自分のやることは変わらない」。もはや貫禄すら漂う泰然自若ぶりだ。

「あと22本どうやって打つかとか…いろいろ考えてます」。自ら触れたのは「あと22本」で届かなかった200安打への思い。「到達したいとか目標にすること自体がすごいこと」。過去に達成したイチロー氏らレジェンドに敬意を払いつつ、静かに闘志を燃やしている。

「今年、悔しい思いをしているし、それをできるだけ成長の糧にしないといけない。来年優勝して、多くの人と野球界を盛り上げられるようにやっていきたいです」

最後はキリッとした表情で、来季17年ぶりのV奪回を約束した。【中野椋】

○…選手会長を務める近本は交渉の場で、契約更改の査定について選手会役員と球団フロントが継続的に話し合う機会を設けることを要望した。近本は「特に投手の査定の評価が(近年)変わっている。どう変えていったらいいか、これからも話を続けていこうと」と説明。「前もって評価の傾向を話してもらえるような、コミュニケーションをとっていけたら」とも話し、相互理解を深めた上で交渉が円滑に進められるよう、今後も働きかけていくつもりだ。嶌村球団本部長は「そこはこういう風がいいとか、ああいう風がいいとか、1つの場を設けることがお互い良いこと。お互いやっていきたい」と前向きに受け止めた。