プロ注目右腕と83年ぶり頂点へ!! 関西学生野球の京大が8日、京都市内の同校グラウンドで始動し、今秋ドラフト候補で最速152キロの水口(みなくち)創太投手(3年=膳所)が、キャッチボールで194センチから投げ下ろすド迫力の「京都タワー投法」を披露した。

「リーグ優勝を目標にやっています。高い目標を、やるからにはそこを目指して」。優勝手土産のプロ入りに決意を新たにした。

医学部在籍中の右腕が脚光を浴びたのは昨秋だ。9月に149キロを計測し、京大最速だった田中英祐(元ロッテ)の148キロを更新。10月3日の同大戦で同校最速の152キロを出すなど、150キロ台連発でプロのスカウト陣をざわつかせた。複数球団が視察するなど、一躍ドラフト候補に浮上。「プロは夢。ずっと目標で、注目されてモチベーションになっている。何位でも行きたい」。たとえ育成契約でもNPB入りを熱望するが、医学部出身選手が誕生すれば史上初になる。

大学では人間健康科学科で理学療法を研究。「ここから忙しくなる」と11日から1カ月以上、病院実習に入る。来年は理学療法士の国家試験を控えるが、野球と文武両道を貫く覚悟だ。

元ソフトバンク投手の近田怜王監督(31)も「あれだけの上背、体がある。伸びしろしかない。決め球を確立できればプロは近づく」と評する。バッテリー強化を掲げ、先発争いに加わる水口も「スケールの大きな投手になりたい」と意気込む。関西学生野球(旧関西6大学含む)では1939年(昭14)秋以来、83年ぶり優勝へ、剛速球で扉をこじ開ける。【酒井俊作】

◆水口創太(みなくち・そうた)1999年(平11)8月9日、滋賀・大津市生まれ。晴嵐小2年時に野球を始めた。北大路中では軟式野球部に所属。膳所(滋賀)を経て、1浪後に京大に入学した。当時は最速130キロ台後半だった。憧れのプロ野球選手はパドレス・ダルビッシュ。194センチ、98キロ。右投げ右打ち。

○…昨年11月に就任した京大の近田監督はリーグ優勝を誓った。ナインに「優勝をしっかりとりにいくぞ」と伝えたという。ソフトバンク時代は1軍昇格できなかったが、常勝軍団の強さを知る。「勝負事なのでトップをとらないと楽しくない。元プロ野球選手で、勝つための方法を伝えるべく呼ばれてきている」と引き締めた。この日は打撃投手も務めた。チームは3季連続最下位。京滋大学野球所属時の68年(昭43)春に優勝したが、関西学生野球では83年ぶりの快挙を狙う。