1月に就任した楽天米田陽介社長(38)が、日刊スポーツの取材に応じ、新体制への意気込みを語った。社長に就任しての感想や、経営方針、東北への思いを率直に打ち明けた。

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-社長に就任して感じることは

昨年の10月から副社長として引き継ぎ期間を兼ねてですが3カ月間、仙台の地域、球団のこれまでの文化、オペレーションをいろいろと見させていただいた。どのように球団をリードしていくべきなのかということをイメージして、考えておりました。いよいよ22年がスタートして、非常にワクワクしている心境です。

-特にどんなところにワクワクしているか

このスポーツ業界全体が2年間、コロナによって非常に苦しい環境の中で、経営と興行を強いられてきました。今のところ今季から、観客収容制限がかからない状態で、お客さまに足を運んでいただけるという方向性が決まっています。スタジアムで実際に体験する感動、リアルじゃないと味わえないものがたくさんあると思うんですよね。そこをもう1度経験できる状況に来られたと思うと、ワクワクする気持ちが最初に出てきます。今の楽天野球団の中でも、2年間で入社いただいた方、選手もそうですが、満員のスタンドを経験していない方が、私を含めています。その場での興奮をもう1度感じたいと強く思っています。

-どんなプランで球場に来たお客さんを楽しませたいか

今まさに職員のみんなといろんなことを考えています。私1人の頭よりも職員100名以上の頭をみんなで使った方がいいアイデアが出てくると思いますので、職員のみんなにどんどんアイデアを出してほしいという風にお願いしていて。できるだけ現場の声を経営に積極的に取り入れていくような形で進めていきたいなと考えています。これまでやったことがない演出だったりとか。非常に面白いアイデアがどんどん出ているので、具現化させていきたいと思います。

-面白いアイデアは現場から出たのか

そうですね。毎日試合を運営してる中で、職員のみなさんが、気付くことはたくさんあって。まだ球団に来たばかりの私より、いろんなことを見て経験していますから。まずみなさんの考えを聞くと。それが結果的に次の新しい1歩につながるのではと思います。

-現場の声を集約していくというのは米田社長の経営理念

「事件は現場で起こってる」じゃないですけど、そういうことだと思うんですよね。現物を現場で見ることが何よりも大切なところかなと思います。私は仙台に越してきて生活始めてますけど、東日本大震災の被災地を自分の足でしっかりと訪れるということを改めてしたいなと。そのこと自体に意味がきっとあるんじゃないかなと思います。効率ばかりを追い求めるのではなく、足を動かして心で理解して。そういった部分を経営についても、これからどのように寄り添っていくかというところについても、そういう考えでやっていきたいなと思います。

-今年挑戦したいことは

コロナの状況で予測が難しい部分はありますが、ミッションのまず1つは球団の健全経営。環境に左右されずに1つの会社としてしっかりとした黒字を出していける状態です。企業体質を作ることと、強くすることが1つ。もう1つは、我々は野球を通じて、ファンのみなさまに夢や感動をお届けしていますが、その中で勝利というのは非常に重要な要素です。その延長線上には優勝や日本一があると思っています。私としては黒子役として、1%でも優勝の可能性を高められるようにする役割です。しっかり支えるためには何をすればいいか。それをしっかり考えて、石井監督と擦り合わせながらやっていこうと思います。プライベートの目標は、こちらに来て、仙台という街が住みやすくて。食事がおいしいので、着任してからどんどん太ってきているので(笑い)。体を健康かつ筋肉質な体に肉体改造していくことを目標として努力していこうかなと思います。

◆米田陽介(こめだ・ようすけ)1983年(昭58)8月9日生まれ。大阪府出身。桃山学院大を卒業し、07年4月に楽天株式会社に入社。19年4月に同社執行役員に就任。同11月に楽天モバイル株式会社執行役員。基地局整備などに尽力した。21年10月からは株式会社楽天球団取締役副社長。22年1月に、球団最年少で代表取締役社長に就任。