オリックス山本由伸投手(23)が27日、大阪・舞洲の球団施設で契約更改に臨み、2億2000万円増の年俸3億7000万円でサインした。高卒6年目の年俸3億円到達は、10年ダルビッシュ(日本ハム=3億3000万円)、12年田中(楽天=3億円)と並ぶスピード昇給。大幅アップに山本は「しっかり評価していただいた。満足しています」と笑みを見せた。

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黒マスク、黒ネクタイに、笑顔が映えた。12球団の大トリで契約更改を終えた山本は晴れやかだった。「しっかり評価していただいた。納得です。満足しています」。2億2000万円アップの3億7000万円。高卒6年目ではプロ野球史上最高額を勝ち取った。

交渉の席では将来的なメジャー挑戦も直訴した。「将来の話を。真剣に時間をかけて話したのは初めてですね。何かが決まったわけではないですけど、お互い納得するところまで話すことができました。(球団は)しっかり理解してくださったと思っています」。

これまでは「より高いレベルでプレーしたい」と話してきたが、メジャー願望を明かすのは初めて。海外FA権取得は最短27年オフで、ポスティングシステムを利用しての移籍希望が現実的。今の実力のまま海外市場に出れば大争奪戦は間違いない。球団が認めるかどうかも含め、注目の話題が誕生した。

昨季は18勝5敗で防御率1・39、206奪三振など無双の活躍でリーグVを導いた。沢村賞右腕の忘れ物は日本一の冠だ。今季限りでの勇退を表明した宮内義彦オーナー(86)に「すごく野球が大好きで、いつも応援してくださっている方。ぜひ日本一で恩返しがしたい」と花道を約束した。

昇給額の使い道は「特にほしいものがあるわけではないので…」と話したが、後輩思いの一面もみせた。「中学時代のチーム(東岡山ボーイズ)の会長さんに『オリックスのユニホームに似たものに変えてほしい』とお願いされているので、できたらなと」。

オフは表彰ラッシュで契約更改の日程が取れず、キャンプイン間近までずれ込んだ。だが「しっかり練習できました。本当に充実したオフだったと、胸を張って言える」と順調な様子。照準は3月25日の開幕戦。昨季ポストシーズン含め16連勝フィニッシュで、ギネス記録の30連勝(12~13年楽天田中将)を見据える右腕には、チームの開幕11連敗阻止の期待もかかる。「(30連勝)本当にそんな方がいるのは信じられませんけど、すごく良い目標だと思うのでしっかり背中を追いかけたい」。山本が言葉にすれば、夢で終わりそうにない。【真柴健】

▼オリックス山本が2億2000万円増の年俸3億7000万円で契約更改。6年目に3億円到達は7人目の最速タイで、金額では18年菅野(巨人=4億5000万円)14年摂津(ソフトバンク=4億円)に次いで3位。高卒では10年ダルビッシュ(日本ハム)の3億3000万円を上回る最高額となった。また、昇給額2億2000万円は史上6位タイで、球団では15年金子(2億円→6億円)の4億円に次ぐアップ額。

【オリックス山本の年俸推移】

◆17年 16年ドラフト4位。契約金4000万円。1年目の年俸500万円。

◆18年 300万円増の800万円。1年目の17年は球団23年ぶりに高卒新人として白星。

◆19年 3200万円増の4000万円。400%のアップ率は球団史上3位。高卒2年目の18年は54試合で32ホールド。セットアッパーとして早くも台頭。

◆20年 5000万円増の9000万円。4年目の年俸としてはイチロー(8000万円)を超えて球団史上最高。先発で活躍した19年は防御率1・95で初のタイトル獲得。初の日本代表でプレミア12優勝にも貢献した。

◆21年 6000万円増の1億5000万円。高卒投手が5年目で1億円超えは球団初。20年は149奪三振でタイトル獲得。防御率2・20はリーグ2位。(金額は推定)