日本ハムが6日、沖縄・名護で今キャンプ初の“実戦”を行った。紅白戦と称しながら、1死満塁でプレーボールするケース打撃のようなBIGBOSSルールを採用。状況は常に3-4の1点差、1死満塁の緊迫の場面。試合中には思わずグラウンド内にまで足を踏み入れて指示を送った新庄剛志監督(50)が、特別ルールに込めた意図、狙いを探った。

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快晴のグラウンドに、“DJ新庄”の声が響いた。「ライトとセンター、距離が開きすぎ!」「セカンドランナー、もう1歩半、大きくリードを取って!」。だが通常の紅白戦とひと味違うのは、指揮官がマイクを握っていること…だけではなかった。

どんなに試合が進んでも、状況は常に3-4の1点差で1死満塁。「1死満塁はね、僕、大好物なの」。ちゃめっ気たっぷりにBIGBOSSは言う。打者にとっては「一番、力む場面。打てば自信になる。併殺は打ちたくない。そこで成長をしてほしい。犠飛を打つ練習も出来る」。この日は主軸候補の野村が中前適時打、1軍メンバー入りしているドラフト3位水野達稀内野手(21=JR四国)が左越え2点適時二塁打を放った一方、清水、石井ら併殺打も目立った。

守る側にとっても、的確な状況判断が求められる。BIGBOSSは「(投手も)抑えたら、ヨッシャー! ってなる」。緊迫感からか、押し出し四球を与える投手もいた。「1死満塁は、ぜ~んぶ含めて、全ての練習になる」。走者に至るまで、全員に緊張感を持ったプレーが必要とされる効果的な練習法だった。「これは、これからも続けていく」。ときには中堅フェンス付近にまで移動し、選手のちょっとした動作にも目を光らせていた。

外野が本職の五十幡が途中から遊撃を、万波が三塁を守るなど、守備位置を入れ替える“シャッフル”も敢行。複数ポジションを守ることで「相手の気持ちを分かってほしい」という意図がある。随所に“こだわり”を詰め込んだBIGBOSS流キャンプで、選手がどのように変わるのか注目だ。【中島宙恵】

◆紅白戦で採用された特別ルール 紅白の2チームに分かれ、計6投手が、打者3人ずつとの対戦を2セット行った。各対戦は常に1死満塁でスタート。

○…日本ハム2年目左腕の根本が、今季初実戦で上々の結果を残した。6打者との対戦は全て1死満塁の状況が設定された中で2併殺2奪三振で「全体的によかった」。武田投手コーチから教わっているチェンジアップも5球ほど試した。「これまでは外に外れることが多かったけど、今日はある程度自分の思ったところに投げられたのでよかった」と振り返り、同コーチからも「いい感じじゃない」と評価された。

▽日本ハム中島(2打席目に新庄監督から「打ったらスポーツ新聞の1面だよ」とマイクを通して言われ、中越え2点適時打)「そう言われたけど、僕的にはいろいろ打撃も変えたので、とにかくタイミングを早く、差されないようにという意識の方が強かった」

▽日本ハム水野(ルーキーは左越え2点適時二塁打を放ちアピールに成功)「ランナーがいた方がモチベーションも上がりますし、打点を付けたい気持ちもあるので、打点にこだわっていきました」