1枚のメンバー表に、巨人首脳陣の思いがちりばめられていた。10日の宮崎春季キャンプの練習後、11日の紅白戦初戦のスタメンが発表された。原監督が「横一線」と話す捕手陣は、昨季の先発マスク95試合で11本塁打の大城が「白組5番」、同3試合で通算1本塁打の岸田が「紅組4番」に入った。元木大介ヘッド兼オフェンスチーフコーチ(50)は「目つきが良い。打撃の状態も良いし体も締まっている」と「白組4番」に据えた北村への期待を打順決定の理由に挙げた。

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狙いは他にもあった。元木コーチは「キシ(岸田)も期待されているわけだから応えれば良い。4番を打てなかった卓三(大城)がどう思っているか」と、捕手陣の顔を思い浮かべた。

V奪還のカギの1つに「正捕手の台頭」がある。原監督は、巨人の扇の要には「守備」と「打撃」の両方を求める。現時点では大城が正捕手に最も近いが、決定打は打てていない。岸田は経験は浅いが、着実に力をつけている。「(大城が)意地見せてくれないかなというのは僕の考えです」と元木コーチ。大城には「反骨心」を、岸田には「期待感」を打順に込めていた。

両チームの「9番・指名打者」にも、正捕手争いへの刺激をまぶした。1軍経験のない喜多と山瀬が名を連ねた。最も経験値のある小林が3軍・故障班で調整中という状況で、若手には「打撃」からアピールするチャンスを平等に与えた。

首脳陣のメッセージは捕手陣に伝わっている。大城が「アピールする立場なので、アピールできるように明日頑張りたい」と言えば、フリー打撃で戸郷から快音を放った喜多は「練習で今までやってきたことを試合でも出せれば」と意気込んだ。2試合の予定を1試合にした「一発勝負」の紅白戦。正捕手の座を懸けた、激しいアピール合戦の舞台が整った。【浜本卓也】