エースが俯瞰(ふかん)の目線でチームを底上げする。巨人は12日、宮崎での1軍キャンプを打ち上げた。菅野智之投手(32)は今キャンプ5度目となるブルペン入りし、最多の88球を投げた。期間中は捕手の大城、堀田や山崎伊らにアドバイスを送る姿が目立った。チーム全体の成長にも注力しながら万全に仕上げ、最有力視される球団最多の8度目の開幕投手のマウンドへ突き進む。

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投球練習中の菅野が突然、マウンドから捕手大城に歩み寄った。「ミットが黒すぎてどこにあるか分からない。なんにも見えない」と声をかけた。大城のミットは、防具と同化する黒色。「ふちに色をつけるか、レガースの色かミットの色を変えてくれと。どうしてもぼやける。1つそこは注文をつけたいと思います」と、正捕手争いをする後輩に道具への助言を送った。

今季に追い求めるのは自分の結果だけではない。生え抜き投手では高木と並んで最年長となる32歳。チーム全体の底上げを担う存在を求められる。「桑田コーチや阿部コーチに『そういう役割もしっかり担ってくれ』と言われている。今までもそういう考えはあったけど、今年はより強く思ってます」。大黒柱の自覚が一層強まった。

1月下旬の合同自主トレから後輩の動きも見つめる姿が目立つ。キャンプでもS班として独自調整しながら、1軍ブルペンで堀田や山崎伊らの投球に熱視線を送ってきた。「見て感じることや何か質問された時に、しっかりとした答えを導いてあげられるように。何も見ていない状態だと正しいことも詳しく分からない」と時間を惜しまず向き合っている。

自身の調整にも余念はない。今キャンプ最多の88球で、宮崎での12日間を締めた。沖縄では160球超の投げ込みも行う予定。「全球種思ったところに投げられましたし(大城の)要求にも9割5分ぐらい応えられたんじゃないか」。開幕投手が最有力の大エースが、チーム全体も引っ張り上げて、歓喜の瞬間をたぐり寄せる。【小早川宗一郎】