NPB12球団は各キャンプ地での練習試合から、オープン戦へ入っていく。今年も若手が奮闘する中、ロッテでは高卒2年目の中森俊介投手(19)が、練習試合ながら初めて1軍級の実戦で登板した。明石商(兵庫)時代には甲子園に3度出場し、世代屈指との呼び声も高い。1歳上の佐々木朗希投手(20)とともに未来のエース格と期待される有望株に、オンラインで現況を尋ねた。【金子真仁】

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プロ1年目を終えて、中森の言葉が変わった。キャンプインを前に、今年の目標をこう口にした。

「初めからすぐ1軍に上がって、というのは自分でもまだ全然想像できてないので、まずはしっかり2軍でローテーション回って投げられたらなと思っています。今シーズンはイニング数がしっかり投げられたらなと思っています」

1年前。ドラフト指名直後、入団会見、キャンプ前と一貫して「1年目から15勝」を目標に掲げた。強気な言葉が並んだ。今はより現実的な言葉だ。なぜ、変わったのだろう。

「15勝を目指さなくなったわけではないです」

変わっていないことを言葉にした上で、続けた。

「高い目標を設定する上で、必ず近い目標を設定しないとその壁は乗り越えていけないというか。小さいことの積み重ねがいい結果につながるんじゃないかと思っているので。控えめというよりかは、まずは近い目標を設定したっていう感じですね」

イニングを投げたい、と言う。2軍であるなら、どれくらいの成績を目標にしていくのか。

「最低でも70イニングは投げたいなと。70の理由ですか? いや、もう何となくですね。パッと出てきた感じです」

2軍で70イニングを投げると、昨季なら森、本前に次ぐチーム3位になる。佐々木朗は1軍で63回1/3を投げた。そのあたりの感覚でプロ2年目に臨む。

ドラフト指名後、目標とする選手に石川歩投手(33)を挙げた。今も変わらない。理想とする先発投手像は「同じチームだったら、やっぱり石川さんみたいな投手になりたいです」。その憧れの投手にこのシーズンオフ、師事した。

「1つ1つの細かい動きがとてもきっちりされていて、まだまだ自分は及ばないなと」

学べば、採り入れたくもなる。石川の言葉を記憶から呼び起こした。

「打たれた打たれないもあまりない状況で、いろいろ変えてしまうと自分の良さもなくなってしまうんじゃないか。今まで通り投げて、打たれたら打たれたで、考えて試行錯誤しながら変えていけばいいんじゃないか」

だから貫く。今や球界でも数少なくなったワインドアップも貫く。

「素直にかっこいいというのと、体を大きく打者に見せたいというか。自信に満ちあふれた投手がウワーッて投げてたらたぶん、打者も構えると思うので。そういう意味で大きく表現したいなと思います」

あらゆる術を使って、18・44メートルを制していく。高校時代から投手としての総合力が評価されてきた。

2月中旬には沖縄本島でのA組の練習試合に帯同した。投げて、酸いも甘いも経験し、再び2軍で作り直すことになる。2年後、3年後。今のロッテ投手陣を想像しながら、中森俊介は何を個性にそこへ入り込みたいと思うのか。

「僕は…そうですね、真っスラですね」

意外な回答だった。

「けっこう勝手に曲がっていっちゃいます。回転軸もカット成分の方が。いろいろな方とキャッチボールする中で、真っスラがいいと言っていただいているので。自分の感覚とギャップはありましたけど、今はいい方向で捉えています」

変えたこと、変えないもの、分かったこと。新たな環境で1年もたてば、いろいろある。焦らず、大きく育つ。