日本ハムは20日、2日連続の逆転劇でDeNAに2連勝。8勝6敗2分けでオープン戦の全日程を終了し、4年ぶりの勝ち越しとなった。

日替わりのガラポン打線に、足を使った攻撃。明らかに乏しい戦力の中、新庄剛志監督(50)が仕掛けた演出に乗って、若いチームはムード最高潮で本番前の準備を完了した。25日開幕戦の相手は難敵ソフトバンク。「エンジョイ・ベースボール」で球界に嵐を起こす。

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打者も投手も、規定に達した選手は1人もいない。主役は、全員だ。2日連続の逆転勝ちでオープン戦勝ち越しを決めたBIGBOSSは「ムードはいいね。他所のチームとは、ちょっと違う雰囲気だと思う」と、ほくそ笑んだ。雰囲気作りに精を出した、この1カ月。笑顔があふれるベンチのムードに「とにかく力を抜くことが大切。向こうが力むところを、こっちは力まないメンタルは作ったと思います」と、手応えを口にした。

前日19日はファン投票でスタメンを決め、この日は、すっかりなじみになったハズレの「赤玉」入りガラポン抽選器で打順を決定した。プロ初の4番スタメンをゲットした浅間は1回に同点二塁打、4回も勝ち越し点につながる左前打。直近の3試合で5打数4三振と不振にあえいでいた清宮には、練習前に「ニュー清宮で行こうか!」と呼び掛け、約30分の技術指導で背中を押した。その清宮は5回、代打で出場し、1四球に右翼線二塁打。新庄監督は「ヒットはヒットでも、ちょっと違うかな。あの打ち方じゃ、ないんだよな」と首をかしげながらも「結果が出たことはいいこと」と、笑顔を取り戻した背番号21に目を細めた。

一見ふざけているような起用法や戦術も、すべてはBIGBOSSの手の内だ。悩める選手の導き方も実に見事で、若い選手が多いチームにフィットしている。「起用法を見たら分かるでしょ?全員が『試合に出たい』という雰囲気に持っていくことが大事だと思っていたから」。監督して初めて臨んだオープン戦で、まずはミッションクリア。「(いろいろなことを)試せた、試せた。試しすぎやろ!」と自分自身に突っ込んだ指揮官は「オレもこの調子で行こうかな」。さえている“勘ピューター”に磨きをかけて、シーズン開幕を待つ。【中島宙恵】