初めて立った東京ドームのマウンドで、いきなり精密機械が狂いかけた。楽天戦に先発した巨人ドラフト3位の赤星優志投手(22=日大)が、1死から2者連続四球を与えた。

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それまで計11イニングで1四球も、直球の制球に苦しんだ。窮地を救ったのは、“桑田カーブ”だった。1死一、二塁から島内、マルモレホスにはカーブでカウントを整え、優位な勝負に持ち込んで打ち取った。開幕3戦目の27日中日戦に向けた最終登板で6回5安打1失点と、盤石ぶりを示した。

磨いてきた新たな武器が生きた。日大時代は「そこまで得意なボールじゃなかった」と多投しなかったカーブを、春季キャンプから桑田投手チーフコーチと猛特訓。握りや縦方向へのスピンのかけ方を教わり、“カーブキャッチボール”で感覚を授かった。「徐々に自分のものになりつつある」と手応えを深めてきた。

侍戦士にも効いた。3回1死二、三塁で浅村へ149キロ直球を4球続けて追い込み、最後は122キロカーブで空振り三振。5回の3打席目もカーブで空振りさせた直後、147キロ外角直球で見逃し三振を奪った。「調子があまり良くなかった」と言いながらも、カーブ13球中11球がストライクと、カウント球としても勝負球としても頼り切った。

オープン戦4試合で17回2失点、防御率1・06の好成績を引っ提げ、19年の高橋以来3年ぶりに新人で開幕ローテを担う。「優勝に貢献できるような投球が出来れば」。貫禄ルーキーのプロ野球選手人生が、地元・東京の本拠地から幕を開ける。【小早川宗一郎】

◆赤星優志(あかほし・ゆうじ)1999年(平11)7月2日、東京都生まれ。日大鶴ケ丘では甲子園出場なし。日大では4年春の東都2部リーグで最高殊勲選手、最優秀投手、最優秀防御率。21年ドラフト3位で巨人入団。契約金6000万円、今季年俸1000万円(金額は推定)。175センチ、78キロ。右投げ右打ち。