大役をエンジョイする。球団66年ぶり2人目のルーキー開幕投手を務めるドラフト8位北山亘基(こうき)投手(22=京産大)が24日、ペイペイドームで開幕戦の25日ソフトバンク戦へ向けて最終調整した。20日夜に新庄剛志監督(50)からSNSのDMで通達された大舞台。BIGBOSSからの「楽しんでいけよ」のメッセージを敵地のマウンドで体現する。また、北山ら新人3選手を含めて9選手が初の開幕1軍入り。新人右腕がチームの新時代の先陣を切る。

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北山は、身震いした。20日DeNAとのオープン戦最終戦後の夜。札幌市内の合宿所へ戻り、夕食を食べていた時にふと、スマホを見た。自身のインスタグラムにDMが送られていた。相手は新庄監督。息をのんで内容を確認した。「震えました。寒気がした」。予想だにしない文面だった。

「次は開幕投手の出番だ

楽しんでいけよ

任せた」

開幕投手の通達だった。カキフライを食べていた手が止まった。「心に突き刺さる3行だったんですけど、すぐ返事でも応えていかないと」と、率直な思いをDMにしたためた。

「ありがとうございます

ぜひ投げさせて頂きます

僕のマウンドでの姿を楽しんでください」

新庄監督の心にも突き刺さった。「素晴らしい。なかなか、その答えは言えない」。続けて「キャンプからずっと良かった。マウンド度胸もすごくいいし、喜怒哀楽もすごい出してくれるし。チームにとっても彼が一番いい」と、大役を任せた理由を明かした。

北山は直感でトップシークレットだと悟った。合宿所の食事会場で必死に平静を保っていると万波が近寄ってきた。「北山さん、もしかしたら開幕投手あるんじゃないですか」。ドキッとしたが、表情は変えずに「いや、たぶんないんじゃないかな…ないと思うんやけど」と返答。事なきを得たが、同席していた同6位長谷川威展投手(22=金沢学院大)は「カキフライを食べた時にせき込んでいたかもしれないです」と証言。思わぬ事態に、さすがに動揺もあった。

翌21日の札幌ドームの全体練習では、知っているだろうと武田投手コーチに尋ねた。「僕、開幕なんですか」。同コーチは「いや、俺らも聞いていない。これはちょっとまずいから誰にも言うなよ」。その後もエース上沢らの探りも切り抜け、23日午前10時半に新庄監督がSNS発表。「ウソをつくのが心苦しかったんで後から謝りました」。今は重圧から解放された。

この日はペイペイドームのマウンドで25球を投げ、感触を確認。「こんな機会は本当にない。プラスに考えてポジティブに捉えて挑戦していきたい」。最高のパフォーマンスでBIGBOSSの期待に応える。【木下大輔】