大嵐の船出だ。ラストシーズンの航海に乗り出した矢野丸が、大波に襲われた。

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1点リードの9回。来日初登板となった新外国人ケラーが餌食になった。先頭山田に左翼席へ同点ソロをたたき込まれると、さらに村上に中安を許し、続くサンタナにはバックスクリーンへ勝ち越し2号2ランを被弾。異様な空気にのみ込まれた新守護神が、武器のカーブをことごとく狙われた。

開幕戦で最大7点差を逆転されるという大惨事。こんな展開を誰も予想できない。もちろん、矢野監督も、だ。「俺の責任として受け止めてるし、7点差をひっくり返されるというのはなかなかないので、まあそれを受け止めながら。ピッチャーも勝負に行った結果。これを受け止めながら立て直していくということを、俺がやっていかなあかん。仕方がないでは済まされない」。指揮官は自身に言い聞かせるように言葉をつないだ。

5点リードの8回から歯車は狂いだしていた。2番手でマウンドに上がった斎藤が1死から村上に四球を与え、続くサンタナに1号2ランを被弾。2死一塁の場面で救援登板した岩崎も下位打線から3連打を浴びた。5点のセーフティーリードからリリーフ2人で1回4失点。昨季まで2年連続セーブ王だったスアレスが抜けて課題だったブルペンが大炎上し、開幕から不安が的中してしまった。

新助っ人のケラーは6日に来日し、10日にチームに合流。2軍で連投するなど実戦4試合で急ピッチで開幕に間に合わせた。2戦目以降の起用法を問われた指揮官は「今すぐちょっと決断というのはなかなか難しいけど、今のこの時点ではシーズンを戦う上でケラーに頑張ってもらわないとというのがある。現状はそう思っています」と、守護神継続の方針を明かした。

失意のケラーは談話を発せず帰路に就いた。矢野監督は「流れを変えるというところでは大変なところ。もう1回、俺らが自分たちで流れを変える野球をするしかない」と力を込めた。悪夢の7点差負けを、糧にするしかない。【桝井聡】