阪神が2年ぶりの開幕2連敗を喫した。ヤクルトに初戦は7点差を逆転され、2戦目は2安打で0封され、重苦しい。第3戦はドラフト3位桐敷拓馬投手(22)がプロ初登板初先発する。昨秋ドラフト指名後のリーグ戦で完全試合を達成した左腕。青柳の離脱、ガンケルの調整遅れがあった先発陣で台頭した。チームが苦しい今、セ・リーグ新人勝利一番乗りで救ってくれ~。

【ニッカン式スコア】26日の阪神-ヤクルト戦詳細スコア

矢野監督とナインは2万8315人のファンに頭を下げ、声援に感謝した。わずか2安打で完封負け。2戦続けて救援陣が崩れて、完敗した。2年前に東京ドームで巨人に3連敗して以来の開幕2連敗。ホームゲームに限ると甲子園でヤクルトに連敗した87年以来、35年ぶりで、平成では1度もなかった。おまけに過去に連敗発進からの優勝はなく、負のデータが並ぶ。

真っ暗なムードを吹き飛ばすべく、ドラフト3位ルーキー桐敷がヤクルトとの第3戦に先発する。矢野監督は「桐敷だけじゃなくて、初登板なんて、誰でも緊張して当然やから。打線の援護と内野陣全員が声を掛けて、何とか桐敷をもり立てるムードが必要かな」と、全員でプロ初登板の左腕を後押しすると約束した。

デビューを翌日に控えた桐敷はキャッチボールやダッシュなどで調整。開幕前にはヤクルト山田、村上らとの対戦イメージをこう語った。「外、外だけだと相手側も対応してきますし、インコースを投げることで、ほかの球も有効的になる。そこは変えない」。今まで通り内角を突く強気の投球で向かうつもりだ。

キャンプは中継ぎと両にらみでスタート。投げっぷりの良さで結果を重ね、開幕ローテに入った。直球は140キロ台中盤でもグイグイ攻め込み、スライダーの切れ味も鋭い。打者から球の出どころが見にくい独特のフォームで、ツーシーム、フォーク、チェンジアップと変化球も多彩だ。青柳が新型コロナに感染し、ガンケルは腰の違和感で調整が遅れた。桐敷がいなければ先発陣のやりくりは難しかった。新潟医療福祉大では昨秋のドラフト指名直後、関甲新学生リーグ初の完全試合を達成と“持ってる男”でもある。開幕連敗という窮地を救うかもしれない。

満員の虎党の前での登板にも「人がいっぱいいるというのは、そんなに苦じゃない。見に来てもらえるのはありがたい」と話しており、声援を力に変えるタイプだ。「やっぱり矢野監督の最後なので、監督に優勝をさせたい気持ちがあります」と誓っていた。ルーキー桐敷が、その左腕で流れを変える。【石橋隆雄】

◆珍名さん登場 桐敷は、プロ野球史上初めて「桐」の漢字を含む名字の1軍公式戦出場選手となる。89~92年の桐山明佳捕手(日本ハム)は1軍戦出場なし。「敷」の文字を使う姓は過去5人おり、1軍経験は3人。球界では13~14年の鬼屋敷正人捕手(巨人)以来の出場で、阪神では64~69年の本屋敷錦吾内野手以来。名字由来netによると、全国に約120人の「桐敷」姓。掛布雅之、真弓明信といった珍名選手が歴史を作った阪神で、その名を刻みたい。

▼阪神がリーグ優勝を果たした年のうち、開幕●●発進した例は1度もない。2リーグ分立後の62年、64年は○○で、85年、03年、05年は●○。1リーグ時代の37年秋、38年春、44年、47年も2戦目までには勝利を挙げた。なお優勝球団の開幕からの最長連敗は、60年大洋(現DeNA)の6連敗。知将三原脩監督がチームを奇跡に導いた。

▼阪神が開幕戦から連敗は、20年に巨人に3連敗して以来。主催試合の連敗スタートに限ると87年に甲子園でヤクルトに2連敗して以来となる。この年はキーオがプロ野球史上初めて新外国人投手として開幕戦に先発したが、6回2/3を5失点で黒星。2戦目は仲田幸司が5回2失点だった。波に乗れなかった阪神は同年、球団史上最低勝率の3割3分1厘で最下位に沈んだ。