成長のための大きな1敗になった。広島遠藤淳志投手(22)が中日戦(バンテリンドーム)に先発し、6回1失点と力投した。

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昨季最優秀防御率と最多奪三振の2冠右腕・柳との投げ合いで、援護に恵まれず今季初黒星。それでも完封勝利を挙げた柳の投球術に学んだ部分もあり、「価値ある1敗」と前向きだった。5年目右腕が2年ぶりの勝利に近づいている。

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敗戦投手の遠藤が胸を張った。6回1失点。打線の援護に恵まれず、今季初黒星がついたが、確かなものも得た。

相手マウンドには昨季投手2冠に輝いた同じ右腕の柳。試合前からロースコアが予測された。「とにかく厳しい戦いになると思っていた。先に点を取られないように粘り強く投げようと」。エース級と互角に投げ合う緊迫戦。「柳さんと投げ合えたことも良い経験になった。価値ある1敗だったと思う」。次につながると思える内容を誇った。

立ち上がりから高低、緩急を多彩に生かし、中日打線を翻弄(ほんろう)した。最速145キロに加え、最遅のカーブが111キロ。34キロ差で幅を持たせた。4回以外は毎回走者を背負ったが、踏ん張った。唯一の失点が6回。2死からビシエドに左越え二塁打、続く阿部の左前打で先制を許した。「インコースに投げ切れたが、あと1つ技術の部分が足りないのかなと思った」。勝負を分けた1点に唇をかんだ。

相手の柳は上をいった。9回を1人で投げ抜き、133球の力投。散発3安打で無失点。12球団一番乗りの完封勝利を挙げた。「柳さんは抜けた球がなかったので素晴らしい。そこを見習いながら勉強していきたい」。降板後も食い入るように三塁側ベンチから右腕の投球を目に焼き付けた。開幕ローテーション入りは6枠中6番目の遠藤。この1敗が、のちの1勝、2勝とつながっていく。大きな自信を得て、今季2試合目を終えた。【前山慎治】