意地と意地、魂のぶつかり合いだ。

阪神青柳晃洋投手(28)が9回裏2死、阪神27人目の打者として打席に入ると、一塁側の中日ファンから大歓声が起こった。

中日先発の大野雄が、それまで打者26人をパーフェクトに抑えており、阪神は代打を送るかと思われていた。結果は一、二塁間への二ゴロ。バンテリンドームは再び拍手に包まれた。

“布石”があった。8回表2死三塁。阪神ベンチは8番石川昂を申告敬遠し、9番大野雄との勝負を選んでいた。結果は中飛。それでも、投手対投手の、意地のぶつかり合いに、球場のボルテージもマックスまで高まっていた。

青柳の続投も当然の内容だった。“完全投球”を継続する大野雄に対し、引けを取らない堂々の投球。2回2死で木下に初安打を浴びた後、8回先頭で高橋周に左前打を浴びるまで打者16人連続凡退に仕留めた。青柳は8回2死一、三塁のピンチを切り抜け、打席に立った直後の9回裏もゼロに抑え、試合は延長戦へ突入した。