いくぞ、遅咲き新人王! 阪神の若きセットアッパー湯浅京己投手(22)が、新人王へばく進する勢いだ。昨季までプロ通算3試合登板の右腕は、今季早くも16試合に登板。点を取られたのは1度だけで、「8回の男」として9試合連続無失点中の安定ぶりだ。

18年ドラフト6位で入団して今季が4年目。新人王資格は初の支配下登録後5年以内、前年まで通算30イニング未満でその条件を満たしている。腰椎の疲労骨折など度重なる故障を乗り越え、9ホールドはリーグ3位。ドラフト1位新人で抑えを務める巨人大勢、3年目で5本塁打と売り出し中の中日石川昂ら、他球団の新人王候補にも負けていない。4年目で新人王を獲得すれば、1971年(昭46)の巨人・関本四十四、98年西武・小関竜也に並ぶ球界最遅タイだ。

「数字は結果としてついてくるものだと思うので、そこまで気にせずに。1試合1試合、自分のやることは変わらないと思うので、出番が(来たら)ゼロで抑える。自分のやるべきことをしっかりやって、相手バッターに向かっていくだけかなと思います」

色気は出さない。足元をしっかりと見つめ、旺盛な向上心で成長を目指している。がむしゃらに投げ続けてきただけに、2日連続の降雨中止は充電の時間となったはずだ。

速球とフォークで三振を奪うスタイルはロッテ佐々木朗ともダブる。自己最速は156キロだが、「質のいい真っすぐで平均的に球速が出れば」と求めるのはアベレージの高さ。フォークはカウント球と決め球を器用に投げ分ける。同じ若き右腕「ロウキ」の次は、虎の「アツキ」がゼロ魔神と化す。【中野椋】

▼プロ4年目の湯浅は新人王の資格を残している。資格を持つ選手は規定で「支配下登録後5年以内」「投手は通算30イニング、打者は同60打席以内」と定められている。湯浅は昨季までの3年間で1軍戦通算3イニングで、これに該当する。球界最遅は4年目で、71年関本(巨人)と98年小関(西武)の2人。湯浅が受賞すればこれに並ぶ。阪神での新人王は過去8人で、全員が入団1年目だった。

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