ロッテ佐々木朗希投手(20)がソフトバンク千賀滉大投手(29)との“最速164キロ右腕対決”を力強く制した。直球の平均球速161・1キロは自己最高値。初の平均100マイル(約160・93キロ)超えとなった。フォークと45球ずつを投げ分け、強力打線を6回9奪三振1失点に封じた。リーグ最多タイの5勝、同最多の87奪三振、さらに防御率1・47は21日夜にもリーグトップに立つ。投手優勢のパを象徴する3冠右腕として、交流戦に君臨する。

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最速164キロ右腕の164キロに、屋根が開くドームがどよめいた。2点の援護をもらった初回2死、3番柳田への勝負球だった。文句なしの1球にバットが空を切る。「点を取ってもらって思い切って投げることができたので」。公式戦では福岡初登板。あいさつ代わりにしては、あまりにも強烈すぎる1球だった。

この164キロが、今季早くも200球目となる160キロ台だった。フォークの比率がやや高く、直球が引き立つ。試合で投じた45球の平均球速は、ついに100マイルを超えた。直球のうち160キロ台が約91%。「しっかり投げれば、そんなに球速も落ちずに投げられているので。あとはこれを1年間を通して維持できるように」。また1つグレードを上げた感さえある。

2回には159キロが、バントの構えをする今宮を空振りさせた。現役最多犠打を誇る職人でも対応できない。3回にはサインミス。カーブを要求したつもりの松川に160キロを投げた。ミットを微妙にかすめ、首元付近の防具に直撃。松川が「気付いたらここにボールがありました」と30センチ前を指すヒヤリの1球。佐々木朗もマウンド下で15秒ほど固まる。その後はミスなし。強い信頼関係で試合を進めた。

勝ち星と奪三振はリーグトップに立った。防御率もついに1・50を割り、オリックス山岡が規定投球回未達になる21日夜にもリーグ1位に浮上する見込み。一時的に3冠右腕となる。「勝ち星とか勝率は打線の援護が関わってくるので。僕の力よりも後ろの投手や野手陣の力が大きい。そこが今、かみ合ってくれているので」と5勝0敗の今に感謝。華々しく続く金曜朗希ショーは交流戦に入り、このまま順調に調整できれば相手は阪神に巨人。好投手ぞろいのパの顔として、セ界に佐々木朗希を示す。【金子真仁】

◆佐々木朗の160キロ台比率 完全試合を達成した4月10日オリックス戦の、全直球に占める160キロ台比率は56・3%、完全投球を継続した同17日の日本ハム戦は57・9%、5月6日のソフトバンク戦は89・6%で、9割超は20日ソフトバンク戦が初めて。

 

▼高卒3年目のロッテ佐々木朗が開幕から無傷の5連勝。高卒3年目以内の開幕5連勝は昨季の宮城(オリックス=2年目で5連勝)以来だが、ロッテでは桂高から入団3年目の54年和田功が7連勝して以来、球団68年ぶりとなった。

▼佐々木朗は防御率でリーグ2位に浮上。昨季の山本(オリックス)まで史上8人しかいない「投手5冠王」(勝利、防御率、奪三振、勝率、完封)を狙える位置をキープしている。