日本ハムが劇的すぎる逆転劇で、「日本生命セ・パ交流戦」の今季初勝利を挙げた。2点を追う9回に万波中正外野手(22)とアリスメンディ・アルカンタラ内野手(30)の連続本塁打で追いつき、延長10回に再び万波の適時二塁打、アルカンタラの2打席連発となる9号ソロで突き放した。2夜連続サヨナラ負けから、意地のドラマチック勝利で新庄剛志監督(50)にとっても交流戦初白星となった。

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日本ハムに想像を超えるドラマが待っていた。2点ビハインドの9回。今季絶好調のヤクルト・マクガフから万波が左中間へ8号ソロ。そしてアルカンタラが右翼へ8号ソロ。防御率0・00の壁を打ち破る、奇跡の連続アーチにBIGBOSSは三塁側ベンチ前へ飛び出して躍った。選手も首脳陣も、全員が絶叫し、ベンチ内で狂喜乱舞した。敗色濃厚から一転、試合の流れを土壇場で奪い返した。

延長10回も、奇跡の連弾を決めた2人が躍動した。相手の暴投で勝ち越し点を奪った直後に万波が適時二塁打を放ち、アルカンタラは2打席連発の9号2ラン。一挙4点を奪って、負の流れを完全に断ち切った。

最後のマウンドは、ルーキー北山に託された。2夜連続でサヨナラ被本塁打を浴びた右腕は、マウンドへ上がる前に新庄監督から呼び止められた。勇気をもらう言葉に背中を押された。セーブシチュエーションではなくても、プロ初の3連投に向かう。男の意地がある。初球の153キロ直球から、1度も変化球は投じなかった。1点こそ失ったが、23球全てが直球の真っ向勝負でのリベンジし、雄たけびを上げた。

新庄監督は交流戦開幕日の午前中に、自身のインスタグラムのストーリーを投稿していた。舞台となる神宮球場の写真を使いながら、コメントも添えていた。

「今日から楽しみでしかなかった 交流戦スタート 1勝2敗!!」(原文まま)

交流戦前、チームは9戦7勝と上げ潮ムード。お互いにデータの少ない中で戦う交流戦は、絶賛向上中の個の力が試される格好の舞台と捉えているはずだ。その中で、昨季日本一でセ・リーグ首位ヤクルトとの3連戦で「1勝2敗」の真意とは-。

新庄監督 どっちが(2勝)とかは書いてない。どっちが勝つとは書いてない。それぐらいのゲームになるんじゃないかな。

結果は日本ハムの1勝2敗。負け越したが、確かな成長を感じられたはずだ。【木下大輔】

○…石川直が3年ぶり白星を挙げた。同点の9回に登板。1死一、二塁で併殺に打ち取り無失点に封じた。延長10回に味方が勝ち越しに成功した。20年に右肘のトミー・ジョン手術を受け、勝利は19年7月31日楽天戦以来。「ピンチはつくったが、なんとか抑えて攻撃につなげられればと思って投げた。野手が点を取ってくれて勝ちがついてくれて良かった」と喜んでいた。

○…アルカンタラが2打席連続本塁打で逆転勝利を呼び込んだ。まずは2点を追う9回だ。先頭万波のソロで1点差に迫ると、左翼へのアーチで続いた。試合を振り出しに戻す8号ソロ。7-5とリードした延長10回1死二塁では、2ランで試合を決定づける追加点を奪った。「チームの力になることができてすごくうれしい。すごくいい感触だった」と喜んだ。

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