プロ野球前コミッショナーで弁護士の熊崎勝彦氏が13日、心不全のため亡くなった。80歳だった。葬儀・告別式は20日に家族葬で行われた。家族の意向により、弔問、香典などは辞退。

42年1月24日、岐阜県生まれ。65年に明大法学部を卒業し、72年に検事任官。東京地検特捜部長、最高検察庁公安部長などを歴任し、「落としの熊崎」の異名でリクルート事件にも携わった。

04年に退官し弁護士となってから、球界との関わりが始まった。05年、コンプライアンス担当のコミッショナー顧問に。13年に統一球が非公表のまま飛びやすいボールに変わっていた問題が発覚し、加藤良三コミッショナーが辞任。14年1月「火中の栗を拾う」覚悟で後任に就き、日本野球機構(NPB)の立て直しに臨んだ。15年10月には巨人の現役選手による野球賭博問題が発覚。粘り強い調査と厳正な対応を貫き、無期失格などの処分を下した。

飾らない人柄で慕われた。野球が好きで、球場では声を上げて応援するのが常だった。野球の五輪種目復活にも貢献。17年11月、任期満了で退任後は再びコミッショナー顧問。日本プロ野球暴排中央協議会顧問にも就いた。

 

▽斉藤惇コミッショナー コミッショナー在任期間中には、選手の野球賭博関与など幾多の事案について、法曹界でのご経験を存分に発揮して解決にあたっていただきました。また、日本野球協議会の設立などプロとアマ一体となった野球界の発展も常に考えておられました。その変わらぬ野球への情熱をご遺志としてしっかりと受け止めたいと思います。ご冥福をお祈りいたします。

▽ソフトバンク王貞治球団会長 コミッショナー顧問として見事に仲介の労をとっていただき、その後コミッショナーとしても大変素晴らしい功績を残されました。検察官という厳しい仕事ながら優しいお人柄で、会う人の気持ちを和ませてくれました。前回お会いした時はまだまだお元気でゴルフの話もしましたが、突然のことで驚いています。思い通りの人生だったと思います。ご冥福を心よりお祈りします。