東海大北海道(札幌学生)の今秋ドラフト候補左腕・渡部雄大投手(4年=東海大甲府)が大会史上7人目のノーヒットノーランを達成した。11年に近大工学部・久保田高弘投手が名桜大戦でマークして以来、11年ぶりの快挙。4強入りした17年以来、5年ぶりの勝利に導いた。神奈川大は、逆転勝ちで7年ぶりに初戦を突破した。

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雨が降り続ける中、東海大北海道・渡部は笑顔で大きくガッツポーズを決めた。最後の打者をフルカウントからの138球目、131キロ直球で見逃し三振。偉業を達成したが、本人は全く自覚なく「完封だと思って喜んでいました」。試合後のインタビューで知り「7人目と聞いて、トリハダが立ちました」と笑った。

4四死球と失策で5人の走者を出したが、安打は許さなかった。140キロ前後の直球にカーブ、カットボール、スライダー、チェンジアップ、フォーク、ツーシームと多彩な7球種で的を絞らせなかった。効果的にストライクを奪ったカーブを教えてくれた東海大甲府の村中秀人監督(64)と、和泉淳一元部長(49=現東海大相模部長)が見守る前で、成長を見せた。

昨秋までわずか1勝だったが、今春いきなり6戦6勝。体が硬かったが、肩甲骨や股関節のトレーニングを入念に行うことで制球力につながった。

ウイニングボールは、70歳の誕生日を迎えた日下部憲和監督にプレゼントした。同監督は「自分の人生において、こんなに素晴らしいことはない」と感無量の様子。17年以来の4強入りへ、エースは「明日の2回戦も、投げられる準備をします」と力強かった。【保坂恭子】

▽和泉淳一・前東海大甲府部長(渡部について)「高校時代よりも制球力が増して、丁寧に投げている。まじめな性格で勉強熱心だった。成長した姿を見せてくれてうれしい」

▽東海大甲府・村中秀人監督(渡部の快投に)「北海道から暑い山梨に来て、当時から制球はよかった。左投手としての才能が開花しつつあった。大学に入って体幹も鍛えられて、毎日の努力が実を結んだと思う」

◆渡部雄大(わたなべ・ゆうだい)2000年(平12)4月4日、北海道・函館市生まれ。北昭和小1年から昭和レンジャーズで野球を始める。亀田中では函館港西シニアに所属。3年春、夏に全国大会出場。東海大甲府では1年春に公式戦デビュー。目標は「球速以上に速さを感じる投球」。左投げ左打ち。178センチ、80キロ。家族は両親と兄2人。