阪神大山悠輔内野手(27)が、交流戦快進撃の立役者になった。5回2死満塁でオリックス先発宮城の外角高めチェンジアップを逆らわずに右前へ運ぶ2点適時打。点差を4点に広げ、沸き上がるベンチへ右手を挙げて応えた。「チーム一丸で戦え、少しでも貢献できたかなと思うのでよかった」。7本塁打、21打点で交流戦2冠。交流戦5度の勝利打点もヤクルト村上と並びトップで“3冠”だ。逆襲の虎を象徴する働きだった。

得点力不足に苦しむチームにとって、大山の爆発は心強い。4月24日ヤクルト戦、雨の神宮で走塁中に左足を痛めた影響もあり、交流戦前までは45試合で7本塁打、24打点。それとほぼ同じ数字を、普段対戦のないパ・リーグ相手に、わずか18試合でたたき出した。

初戦の5月24日楽天戦(甲子園)では左翼を守りフェンスへぶつかりながら大飛球を好捕。6回に自身が放った適時打での1-0で勝った。甲子園では3日連続を含む5度のお立ち台に立つなど勝負強さが際立ったが、「まだシーズンは終わっていない。一番は油断をしないこと。隙を見せたら、すぐに落ちる」と浮かれることはない。「まだまだ、もっとできるだろ」と、自分に言い聞かせ、さらなる高みを目指す。

5番大山という太い軸ができ、4番佐藤輝、3番近本とドラフト1位クリーンアップが完成。3人がそろって打点を挙げた試合は昨年から7戦7勝だ。矢野監督は「チーム全体として、どう点を取っていくかっていう流れがこの交流戦でつくれた。健斗(糸原)や嘉男(糸井)が絡んでくれば、もっといい打線になる」と、手応えをつかむ。鉄壁の投手陣に打線が援護できれば、猛虎の完全復活が見えてくる。【石橋隆雄】

▼大山が獲得した交流戦本塁打王は、阪神の選手では初。打点王は05年今岡誠40打点、08年金本知憲29打点に次ぎ3人目。なお打撃主要3部門ではほかに、金本が08年に4割7厘で首位打者となっている。

○…山本が今季初の1番起用に今季初の猛打賞で応えた。オリックス先発左腕宮城に対し「直球も変化球も一級品なので、どちらも追いかけるのではなく、打席ごとに狙い球を整理した」と、3回は四球を選び、5回は低めカーブに泳がされながら左前へはじき返した。「今日4度(1四球含む)出塁できたことはよかった。次回も自分の仕事ができるように」と、少ないチャンスを逃さない。

○…青柳が交流戦投手部門の3冠に輝いた。3試合に先発し、3勝で最多勝。日本ハム加藤と並び、防御率、勝率もトップに立った。防御率0.00フィニッシュは、日本ハム加藤とともに15年の阪神メッセンジャー以来となる快挙だった。17日から再開するリーグ戦でもフル回転で勝利を積み重ねていく。また、岩崎は7セーブでヤクルトのマクガフと並び、交流戦セーブ王となった。

○…近本が自己最長の14試合連続安打となる先制タイムリーを放った。3回2死一、三塁。宮城のスライダーを捉え先制の中前適時打とし、これが決勝点となった。6月は全試合3番で打率4割4厘と絶好調。「いつかは(3番を)やってみたいとは思っていたので、いい経験をさせてもらっている。前も後ろも調子いい選手が多いので、僕は気楽に楽しく打席に入れている」と感謝した。交流戦2位の26安打、同3位の打率3割6分1厘でフィニッシュ。「今日はテルが締めたでしょ!」と主役を後輩に譲り、球場を後にした。

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