オリックスのエース山本由伸投手(23)が、プロ野球史上97度目(86人目)となるノーヒットノーランを達成した。球団では12年10月の西勇輝以来。今季はロッテ佐々木朗(完全試合)、ソフトバンク東浜、DeNA今永に次ぎ早くも4人目だ。シーズン4人の達成は1リーグ時代の1943年(昭18)以来、79年ぶり。山本はヒーローインタビューでは声を弾ませた。

「立ち上がりはいい感じに入れました。でも今日は打たれる気がしていたので、(終盤は)すごく緊張していました。粘り強く投げていたら、点を取ってもらえると思って投げていました。みなさんの応援で実力以上の成績が出せました。感謝しています」

27個目のアウトを奪うと、いつものようにナインとハイタッチを繰り返した。ただ、あどけない笑みには悔しさも残った。

5回2死で6番外崎に四球を与えるまでは“完全投球”を披露。惜しくもパーフェクトピッチングは逃した。

今年4月10日にロッテ佐々木朗が、プロ野球28年ぶりの完全試合を達成。3学年下の右腕の快挙を「すごいの一言。投球も、迫力があった」と認めた。

山本にとって、完全試合とは…。「究極。相当、圧倒しないと達成できないもの」と表現。この日は四球1つのみのノーヒットノーラン。球史に残る大記録だが、山本なら完全試合の達成も遠い世界ではない。

「いつか(完全試合を)やってみたいですよね。もちろん、タイミングや、運もありますけど…。いずれは!」

現実味を帯びる、その言葉-。先発マウンドに上がる度、鼓動が高鳴る。【オリックス担当=真柴健】

◆山本由伸(やまもと・よしのぶ)1998年(平10)8月17日生まれ、岡山県出身。宮崎・都城から16年ドラフト4位でオリックス入団。1年目の17年8月31日ロッテ戦でプロ初勝利。20年に背番号を43から18に変更。21年東京五輪日本代表として金メダルに貢献。同年パ・リーグの最多勝、防御率、奪三振、勝率とタイトルを独占しMVPを受賞した。178センチ、80キロ。右投げ右打ち。

▼山本が6月7日今永(DeNA)以来、プロ野球86人、97度目のノーヒットノーランを達成した。オリックスでは12年10月8日西以来で、阪急時代から9人、10度目。球団別の回数は巨人16度(12人)中日12度(12人)に次いで3番目に多い。山本が許した走者は5回、四球の外崎だけ。許した走者1人だけのノーヒットノーランは前記今永以来18人、19度目になる。これで今季のノーヒットノーランは4月10日佐々木朗(ロッテ=完全試合)5月11日東浜(ソフトバンク)今永に次いで4人目。1シーズンに4人以上達成したのは1リーグ時代の40年5人、43年4人に次ぎ3度目で、2リーグ制後は初めて。パ・リーグで3人が達成したのも初めてだ。

▼西武のノーヒットノーラン負けは5月11日東浜(ソフトバンク)に次いで今季2度目。シーズンにノーヒットノーラン負けを喫した回数は41年名古屋の4度(継投の2度含む)が最多で、2度以上は71年西鉄以来、51年ぶり6度目。2カ月以上連続は41年6~8月名古屋、71年8、9月西鉄に次いで3度目の屈辱。