左腕が止めた。3位復帰だ! 広島床田寛樹投手(27)が阪神9回戦(マツダスタジアム)で7回2失点と好投し、19年に並んで自己最多の7勝目を手にした。チームの連敗を5で止め、4日ぶりのAクラスに押し上げた。今季このカード8連勝(1分け挟む)とお得意さま。床田も3戦3勝、ここ2年は6勝1敗で虎キラーがまたしても退治に成功した。

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試合開始時に降っていた雨も、床田の快投が進むにつれて弱まった。いつしかやみ、赤いレインコートを着たままのファンが食い入るように戦況を見つめた。雨上がりのじめっとした空気も、そして虎の反攻も、左腕が振り払った。7回2失点の好投でキャリアハイに並ぶ7勝目。「全然考えていなかった。気付いたら7勝。2桁(勝利)を目標にしているので、ここから」。勢いに乗っていても慢心はみじんもない。

今季は阪神に3戦3勝、防御率1・17と好数字が並ぶが「力不足」と反省もする。それは7回の大山に浴びた2ラン。「3打席目は絶対に抑えてやろうと、思い切り投げた。まだまだ力不足。次やり返せるように」。悔しさを糧に飛躍を期す。

6回にはバットでも魅了した。前打者の上本が敬遠で歩かされ、2死一、二塁で打席へ。石井の変化球を中前に転がした。「狙ってた。絶対にチェンジアップくると思っていた」。狙い通りの一打に一塁ベース上でにやりとほほ笑んだ。

今季3本目の安打を生んだバットのヘッド部分には「6 HAYATO」の文字があり、「(巨人)坂本さんのバット」と明かした。4月にあった本拠地での巨人3連戦。坂本と親交のある菊池涼に「坂本さんのバット欲しいんですよね」とおねだり。菊池涼が電話をして取り計らい、翌日には床田の手元に届いた。「(良さは)名前じゃないですか? あの人が持ってるバットってなったら打てそうな気がするので」。他に巨人丸モデルのバットも持つなど、好打者の力を宿している。

前回はチームを3連敗で止め、前々回も4連敗で止めていた。今回は5連敗で止め、佐々岡監督は「本当によく投げてくれた」と大絶賛。週頭を白星発進。床田がつけた勢いを2戦目、3戦目につないでいく。【前山慎治】

○…栗林はマツダスタジアム通算40試合目で初めて失点した。3点リードの9回に登板。連打で無死一、二塁とし、大山に中前適時打を許した。「1点取られた時にふと『ああ初めて取られたな』と思った。自分が投げ切れなかったところを反省していきたい」。その後は3人で打ち取って14セーブ目がついたが、悔いが残った。

○…野間が5回に3者連続適時打の起点となった。1-0の5回2死二、三塁から左前に適時打。点差を2点に広げ、宇草、菊池涼の連続適時打へバトンをつないだ。「床田も頑張っていた。西(勇)さんも立ち直りだして、やっとのチャンスだった。(1回以来)久々のチャンスでランナーをかえすことができて良かった」。貴重な一打を放った野手主将は今季2度目のお立ち台に上がった。

○…マクブルームが得意の阪神戦で先制打を放った。1回2死二塁で西勇の内角球に詰まりながら左前に落とし、これが決勝点。「うまく押し込むことができた。なかなか先制点を取ることができていなかったので、それができて良かった」。阪神戦の打率4割1分9厘を誇る主砲が2戦目以降も頼もしい。

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