苦手ツバメ斬り-。広島秋山翔吾外野手(34)が8回に起死回生の2号同点2ランを放った。今季1勝10敗1分けと大きく負け越すヤクルト相手に、終盤まで劣勢を強いられたが、ひと振りで流れを変えた。加入後初の猛打賞となる4安打固め打ち。チームはヤクルト戦の連敗を止め、勝率5割復帰で2位浮上となった。

アレルギー知らずのバットマンが、流れを変えた。0-2で迎えた終盤8回。2死一塁から3番秋山はヤクルト梅野の浮いたチェンジアップに反応した。完璧に捉えた打球は、右翼席上段に吸い込まれた。確信のバット投げからゆっくりとダイヤモンドを1周。起死回生の同点弾で広島打線をよみがえらせた。

「ライオンズにいたときのデータとかイメージはほとんどなかった。真っすぐに丁寧に入って、あれはもう反射的に手が出た。チームにとっては助けになったと思うし、僕としても結果として良かった」

試合前までヤクルトには今季1勝10敗1分けと苦手としていた。敵地神宮では3戦3敗。この日も先発大瀬良が序盤に失点を重ね、打線も7回までゼロ行進が続いた。そんな中、広島加入後初のヤクルト戦となった秋山は。7回まで放ったチーム7安打のうち、1人で3安打をマーク。重い空気が流れる中、孤軍奮闘でチームを鼓舞し続けた。8回は2死走者なしから、ヤクルト村上の失策から続いた攻撃を得点につなげた価値ある1発だった。

秋山効果で、今季7度の対戦で1点も取れていなかったマクガフも打ち崩した。同点の9回は小園が勝ち越しソロ、松山も2ラン。秋山に続けとばかりに、神宮の夜空に花火を打ち上げた。逆転でヤクルト戦の連敗を止め、6月26日以来となる勝率5割復帰で2位に浮上した。佐々岡監督は「本当に練習をするし、いろいろ考えながら取り組んでいる姿勢は若手の見本となる。あの1発でベンチのムードが上がった。アキが打つとチームも盛り上がる」と最敬礼だ。コロナ禍のチームを救った秋山が、佐々岡広島浮上の特効薬となる。【前原淳】

▽広島栗林(新人から2年連続20セーブ)「野手の方や投手の方がつないでくれたおかげで、こうやってセーブを積み重ねることができた。自分の仕事をまっとうしてシーズンを終わりたいと思います」

▽広島小園(9回に5号決勝ソロ)「前の打席は当てに行っていたので、しっかりと自分の形で振ろうと決め、それが結果につながったかなと思います」

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