後半戦、い~よカーン! 阪神佐藤輝明内野手(23)が愛媛・松山での「マイナビオールスターゲーム2022」第2戦でロッテ佐々木朗撃ちの犠飛で2年連続打点を挙げた。令和の怪物対決となった1回1死満塁で157キロを左翼へ。この日大谷翔平に並ぶ球宴最速の162キロをマークした剛腕の剛球を仕留めた。後半戦開幕の29日からは11ゲーム差で追う首位ヤクルトと大事な甲子園3連戦。ミラクル大逆襲も頼んだぞ。

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静寂と興奮が入り交じっていた。ボールを見逃せば乾いたミット音、ファウルのたびにどよめきが響いた。佐藤輝の視線の先には、佐々木朗。令和の怪物同士のパワー対決に、360度から視線が降り注ぐ。「野球発祥の地」とも称される愛媛・松山の2万5230人のファンが、両雄の真っ向勝負に引き込まれた。

初回1死満塁。初球160キロはボール。3球目まで全て真っすぐだった。4球目に今試合初のフォーク、6球目は128キロカーブで緩急をつけられた。5度のファウルに「なんとか前に飛んでくれ」。ついに打ち返したのは、9球目の157キロ。左犠飛で先制し、球宴初出場で本塁打を放った昨年に続く2年連続打点を挙げた。これが佐々木朗にとって球宴初失点。背番号8も勝負を堪能していた。

佐藤輝 佐々木投手の球が速すぎて全然前に飛ばなかったですし、バットも折られましたけど、オールスターでの1打点、めちゃくちゃうれしいです!

今季の交流戦は3打数無安打2三振とひねられたが、リベンジ成功。「前に飛ばせるように」と宣言していた通りの結果に「それは達成できたので満足です」と笑った。3回の第2打席で同学年のオリックス山本に空振り三振を喫するなど、3打数無安打1打点、3三振。ブンブン振って、らしさ全開で満喫した。

忘れ物も、またできた。試合前のホームランダービーは2年連続で初戦敗退。同僚の中野を打撃投手に指名したが、2分間でわずか1本。楽天浅村に敗れた。

佐藤輝 いや~、もう、力入りまくって、全然思うようにいかなかったですね。また出る機会があれば、この経験を生かして頑張りたいです。

試合前にはヤクルトの主砲村上と談笑。同世代の広島坂倉、DeNA牧とも心を通わせた。球宴ならではの時間を楽しみ、収穫も大きかったに違いない。

後半戦開幕の29日からは、11ゲーム差で追う首位ヤクルトと大事な3連戦。チームは5割ターンを決めて上り調子だが、昨季より5本少ない前半戦15発には、満足していないはずだ。福岡、松山と巡った真夏の祭典。一回り大きくなった背番号8が、猛打爆発で大逆襲を導く。【中野椋】

○…全セ球宴初出場の阪神大山は2戦目も超一流との真っ向勝負を満喫した。「6番一塁」で先発。1回2死一、二塁ではロッテ佐々木朗の153キロをとらえるも、中堅左後方への飛球をキャッチされた。3回2死一、二塁ではオリックス山本の150キロを左飛。2日間で4打数無安打に終わったが、「しっかり自分のスイングができた。純粋に野球を楽しめた。あらためてやっぱり野球が好きだなということに気づけた時間でした」と笑顔だった。

○…全セ阪神中野の球宴初ヒットは来年以降に持ち越しとなった。6回の守備から途中出場。2打席に立ったが、右飛と空振り三振に倒れた。9番遊撃でスタメン出場した前日も2の0で、初出場した昨年から7打席連続で無安打。それでも「今年もしっかり楽しみながらいい経験を積むことができました」と充実の表情だ。試合前のホームランダービーでは佐藤輝の打撃投手を務めたが、初戦敗退に「ちょっと悔しかった。テルをヒーローにさせたかったけど、経験できたことはよかったです」と振り返った。

▽全セ巨人駒田3軍監督(代行でベンチ入り)「正直借りてきた猫だろうなと。でも、実際やってみたら、そんなに借りてきた猫ってこともないなと自分では思いました。十分楽しませていただきました」

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