歴史的逆転Vのドラマが始まった-。後半戦が開幕し、阪神が首位ヤクルトに快勝。ついに貯金生活に突入した。

新助っ人アデルリン・ロドリゲス内野手(30)が4回に特大の1号ソロを放つなど2安打2打点の活躍。1軍昇格後、チームは4連勝だ。開幕戦では大逆転負けを食らったが、今は違う。猛虎よ、奇跡を起こせ!

   ◇   ◇   ◇

走り始める必要もない。ロドリゲスは約5秒、本塁付近で白球を眺めた。真夏の夜空にかけた放物線は、確信通り左翼席中段へはずむ。「ファンに何かいい思い出を、と思っていたのでよかったよ」。甲子園の熱狂を味わうように、ゆっくりダイヤモンドを回った。

3点リードの4回無死。1ボール2ストライクから小川の130キロスライダーにアジャストした。移籍1号は中押しの特大ソロアーチ。「打った瞬間だったので気持ちよかったね」。黄色い南国風の花があしらわれた“ハワイアン虎メダル”を矢野監督からかけられ、照れくさそうにベンチ前を歩いた。

直前のミスも挽回した。4回表1死一塁、ヤクルト村上の投ゴロに飛び出した。西勇からの送球を受け取るもベースを踏めずセーフ。虎初失策を帳消しにするフルスイングに「これからもベースはしっかり踏んで打ってくれたら最高」と指揮官もニヤリだ。8回の適時打と合わせ計2打点。すっかり虎党の心をわしづかみにした。

NPBでは、オリックス時代の20年9月24日以来、673日ぶりのアーチ。当時は家族とともに来日できず、グラウンド外の癒やしが少なかった。今回はファミリーと2度目の日本野球挑戦。「家族といろんな所に行きながら共有していきたい」と力に変える。

3月25日開幕ヤクルト戦で最大7点のリードをひっくり返された。開幕9連敗、最大借金16…。あの頃の虎はいない。後半開幕戦で首位ヤクルトのマジックを消滅させ、今季95試合目で初の貯金生活に突入。ロドリゲスの1軍昇格後無傷の4連勝で、単独2位に浮上した。

矢野監督 1試合1試合が、本当にドラマを起こすための大事な1勝1勝の積み重ねになる。ドラマを起こすというところでは本当にいいスタートを切れた。みんながよし、いけるぞ、というムードを出せるような試合をしてくれた。

ミラクルを後押しするように、序盤に甲子園左翼後方上空に虹がかかった。悪夢のシーズン序盤を知らない助っ人が、大逆転Vへの使者になる。【中野椋】

 

▼阪神が今季最大借金16から挽回し、ついに貯金を1とした。球団の最大借金完済は66年の19。同年のシーズン最終盤、10月7日広島戦ダブルヘッダー第1戦の白星で勝率5割に戻し、第2戦も勝って貯金を1とした。ところが、残る3試合に全敗。64勝66敗5分けの借金2で閉幕した。今季はどれだけ貯金を増やすことができるか。

 

○…糸井が“放牧”を終え、1軍に再合流した。ベンチスタートも8回1死一塁から代打出場。見逃し三振に終わったが打席では大歓声を浴びた。糸井は18日に出場選手登録を抹消。井上ヘッドコーチが「『後半戦にはお前の力が必要だ』というような話をして放牧している」と説明すると、糸井も自身のツイッターで「放牧!! てこういうことですか?」と、馬の放牧写真を添付してツイートしていた。

○…島田が持ち味を発揮した。2番で先発出場。初回先頭の中野に続いて右前打を放ちチャンス拡大。1点を先制した直後の無死一、二塁では、近本とともに重盗を成功させた。「バッティングでも盗塁でもチームに勢いをつけることができた」。矢野監督は「島田がしぶといヒットと盗塁で流れをつくってくれた。すごく価値のある、中身のある盗塁。相手にダメージのある走塁を島田がしてくれた」と褒めちぎった。

【関連記事】阪神タイガースニュース一覧