ヤクルト村上宗隆内野手(22)が、シーズン100試合目で「3冠王」に肉薄した。広島16回戦(マツダスタジアム)で3安打をマーク。今季10度目の猛打賞を記録し、打率は3割2分2厘に急上昇した。リーグトップの中日大島に2毛差と、まさに肉薄。39本塁打、98打点はすでに独走状態で、令和初、18年ぶりの「3冠王」が現実味を帯びてきた。村上の孤軍奮闘むなしく、チームは今季3度目の4連敗を喫した。

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攻めあぐねた右腕森下を、ただ1人村上が攻略し続けた。2回先頭の打席は、カットボールに詰まりながら中前へ運び、4回は直球を左前へ落とした。さらに7回、再び初球の直球をとらえ左前打。9回こそ空振り三振に打ち取られたものの、打席を追うごとに安打を積み上げた。打率は、試合前の3割1分8厘から、一気に3割2分2厘6毛に急浮上。中日大島に2毛差に迫った。

今季10度目の猛打賞で、令和初の「3冠王」に最接近した。開幕前「目標は、すべてタイトルを取れるなら取りたい。去年の成績より残すこと、さらにいい成績を残すことは絶対条件だと思う」と自らに課した。ここまで39本塁打、98打点はいずれも独走状態。残す打率は、6月19日広島戦での2本塁打を含む3安打で3割に乗せてから3割台をキープ。昨季2割7分8厘から大きく改善していた理由は鬼門の7月にあった。

昨季7月は8安打に終わり、打率1割7分8厘、2本塁打、8打点と急ブレーキ。「もうちょっと打っておけば、去年も3割近く打っていたと思う。波が激しいときがあった。そこをなんとか2割7分、2割5分くらいの成績でいければ3割打てると思う」。今季は同月に21安打を放ち、3割1分8厘、8本塁打、17打点。まさに波に乗った。七夕の願いに、短冊には「キャリアハイ 連覇」と記した村上。その願いを大きく引き寄せる7月だった。

この試合、4回に出塁すると二盗を成功させて今季10盗塁。3年連続となる2桁盗塁をマークするなど、孤軍奮闘した。2桁盗塁で3冠王となれば史上初。しかし後続から快音はなく、完封劇に屈して今季3度目の4連敗。高津監督は「打ってつないでっていうところがすごく難しい中で、なんとかって思いながらみんな打席に立っていると思う。ぜひ点を取れるようにしていきたいと思います」と前を向いた。【栗田成芳】

◆3冠王メモ 過去に3冠王は7人、11度。最近では16年山田(ヤクルト)がチーム97試合目まで3部門トップに立っていたが、04年松中(ダイエー)を最後に3冠王は誕生していない。ロッテ時代の落合が最多の3度獲得し、38年秋の中島(巨人)と82年落合の29歳が最年少記録。この日、村上は今季10盗塁目を決め、3年連続2桁盗塁をマークしたが、歴代3冠王の盗塁は82年落合の8個が最多。22歳の村上は最年少3冠王に加え、史上初の2桁盗塁の3冠王を狙う。

◆2冠と3冠 3冠王は延べ11人しかいないが、打率、本塁打、打点のうち2部門が1位の2冠は延べ87人いる。本塁打と打点の2冠が延べ65人と最も多く、打率と本塁打、打率と打点の2冠がそれぞれ延べ11人。セ・リーグでは19年ソト(DeNA)20、21年岡本和(巨人)と本塁打、打点の2冠が3年続いている。

▽ヤクルト高梨(粘投も6回4安打1失点で6敗目)「先制されてしまって、その後、切り替えて1人ずつ丁寧に投げることを意識して投げました」

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