内海に輝かしい花道を-。西武がソフトバンクを完封リレーで下した。

エース高橋光成投手(25)が6回を無失点に抑え、7回以降は水上-スミス-増田とつないだ。通算135勝で一時代を築いた内海哲也投手(40)が今季限りでの引退を発表した日に、獅子のエースが「0」を並べた。優勝戦線の先頭を走り続けるべく、重要な首位攻防の第1ラウンドを制し、ゲーム差を2・5に再拡大させた。

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高橋は試合後、言った。

「絶対に優勝はしたいです。内海さんに花を添えたいですしね」

内海の引退はニュースで知った。「まだシーズンも終わってない」こともあって、何と声をかけたらいいか分からない。練習では「意識はしないで」といつも通りの会話をして、マウンドに立った。

エースの看板にふさわしい投球だった。森の要求通りにインコースにズバズバ投げきった。蒸し暑さに、大事な試合という気持ちも重なってか、4回は「1度倒れそうになった」と頭がくらっとした。しかし、6回まで114球。ピンチこそ球は制球も力強さも増した。防御率は2・29ながら、勝ち星は6月24日以来、遠ざかっていた。エースの看板は輝きを失いつつあったが、頼もしかった。7勝目は通算50勝目になった。

群馬・沼田市出身。野球中継は主に巨人戦だ。「テレビで見ている方だった」と内海は憧れの1人だった。18年オフ、その左腕が巨人から移籍して、同じチームになった。学んだことは数知れない。練習への意識、アーリーワーク、「自分のスタイルは貫く」という打者への考え方など。その数々がエースに成長を遂げる道しるべとなった。

春季キャンプ。高橋はアーリーワークを欠かさなかった。ホテルからチームバスの前にタクシーで球場に入った。それは内海のように。妥協がなかった。その姿をチームメートは知っている。

エースとは? その問いに、少し間を置いて、高橋は言葉をつむいだ。

「周りが認めるピッチャー。みんながこいつなら任せられるとか、こいつで勝てなかったらしょうがないと、言ってもらえるような投手だと思います」

その仲間が「認める」投手にもなった。2ランを放った森は「光成が頑張っているので何とかしたかった」と言った。内海は6度のリーグ優勝にも貢献している。その左腕の背中を見ながら、さらなるエースの高みを目指していく。【上田悠太】

▽西武辻監督(内海の引退に)「いずれ来ることだからね。成績も人間性も素晴らしい。コーチを兼任しながら、選手たちに愛されて、いろんなことアドバイス送ってくれる。まだ終わっていないけど、素晴らしい野球人」

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