意地の3安打で最多安打浮上だ!! 広島坂倉将吾捕手(24)が今季6度目の猛打賞を記録した。チームは巨人に競り負けたが、試合前にリーグ4位126本だった安打数を129本に伸ばし、阪神中野と並ぶ同1位に躍り出た。コンスタントに積み重ねる巧打者が、球団では17年丸佳浩以来となるヒットメーカーのタイトルを狙う。

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坂倉はグラウンドを広角に打ち分ける。おのずと安打数も増えてくる。今季6度目の猛打賞で、安打数を阪神中野と並ぶリーグトップの129本に伸ばした。「まだまだシーズンが続いている。最近得点圏で打てていないので、まずはチームが勝てるようにそういう安打を打てたらと思う」。

1回2死一塁では相手先発山崎伊に2球で追い込まれながら、4球目を右前に転がした。3回1死では低めの直球を左中間に運び、二塁打。5回2死でも左前打を放った。3安打は7月23日ヤクルト戦(神宮)以来25戦ぶり。久々の結果に「(状態は)悪くはなってない。続けていけるように頑張るだけ」。

6月までは打率3割1分7厘と好調。その時点で打率リーグ2位だった。しかし7月以降、暑さが増すとともに成績を落とした。7、8月は打率2割3分1厘と苦しんでいる。それでも4試合以上無安打だったことは今季1度もない。

たとえ苦しんでいても、試合に出続けることが坂倉なりの責任の果たし方だ。ここまでチーム唯一の全119試合出場。夏場はやや低迷しているが「ケガをしてしまうとすべてがパーになる。試合に出ている責任もある。そういう面では準備やストレッチもしっかりやらないといけない」。捕手登録ながら主戦場は三塁。ときに一塁、ときに捕手をこなすハードな起用法ながら、グラウンドに立ち続けてきた。

チームは坂倉猛打賞の奮闘も実らず、勝てば4位浮上の一戦を競り負けた。コロナ禍などで野間、菊池涼、秋山と並ぶ従来の1~3番を欠いた。「みんなでやっていかないといけない」。4年ぶりAクラスを目指す中、まさに今が正念場。だが、3位阪神と2・5差は変わらない。戦線に残っている背番号31が頼りだ。【前山慎治】

▽広島河田監督代行(25戦ぶり猛打賞の坂倉に) コロナ組が帰ってくるときに坂倉の状態が上がっていると非常に良い。今後は期待が持てる。

○…広島マクブルームの3試合ぶり15号ソロも勝利につながらなかった。2点を追う3回1死。巨人山崎伊の浮いたシュートを捉え、左中間席に運んだ。1打席目の中前打に続く1発で3試合ぶりマルチ安打。「初回の打席からいい感じで積極的に振れていましたし、そういう意味ではいい打席だったと思います」。チームは苦境続くが「まずはプレーオフ、クライマックス進出というところに主眼を置いて、チーム全体が熱くなっていればいいかなと思います」と前を向いた。

 

○…広島大盛が今季初の猛打賞で1番起用に応えた。3点を先制された直後の1回は三塁打で反撃の口火を切り、2回には左前打。1点を追う9回は2球バント失敗から、右翼への当たりで二塁を奪う果敢な走塁でミスを帳消しにした。「本当に意地で。打った瞬間ライトがセンターの方に寄っていたのが見えたので、行けると思って行きました」。主力野手の復帰が迫る中、代替選手として出場機会を得ている韋駄天(いだてん)が生き残りをアピールした。

 

○…広島先発玉村が102球を投げ、6回3失点にまとめた。1回はボール先行の投球が目立ち、3安打1四球で3点を失った。それでも味方の好守もあり、2回以降は立ち直った。「後半真っすぐを投げ切れるようになってきたので、変化球も思い切って腕を振れるようになったかなと思います」。苦しみながらも6回まで投げ抜き、試合をつくった。

 

○…広島2番手森浦が決勝打を浴びて競り負けた。同点の7回に登板した左腕は先頭小林の安打からピンチを招き、ウィーラーに左前決勝打を献上。最下位中日に1ゲーム差に迫られた。監督代行を務める河田ヘッドコーチは「もう必死こいてやるしかない。どれだけ気持ちを切り替えて奮起していくか。強気にやるかというところじゃないかな」とセットアッパーも務めた左腕の奮起を求めた。