俺が守護神!! 阪神カイル・ケラー投手(29)が鮮やかな快投で甲子園初セーブを挙げた。

先制直後の9回にマウンドへ。150キロ超の速球で押して難なく2死を奪った。4番松山にも快速球を投げ込んだ。154、154…。最後は二ゴロ。背番号42が黒土のマウンドで仁王立ちした。

「勝つための最後の3つのアウトはどんな状況でも簡単ではない。甲子園のセーブは特別なものだね」

クローザーの岩崎が不振で、シーズン終盤に入って9回の大役を任される。8回は甲子園の一塁側ブルペンで準備。モニターで大山のアーチを見届けると武者震いした。「セーブがつく状況になった。自分の仕事をするだけ」。3者凡退で6月19日DeNA戦から16回無失点を継続。抜群の安定感で来日2セーブ目だ。

開幕戦の屈辱を力に変えた。3月25日ヤクルト戦は1点リードの9回に登板。だが、アーチ2発を浴びて3失点。来日デビュー戦で地獄を見た。同29日広島戦も空振りを取れず、1死しか奪えずKO敗戦。防御率「33・75」の惨状だった。

コロナ禍で来日が当初予定より遅れ、守護神筆頭候補として急ピッチで仕上げたが無理があった。わずか2戦で2軍降格も、前を向いた。「チームに申し訳ない。新しいスタート」。元大リーガーの誇りを捨て、見つめ直した。球種は速球とパワーカーブの2種類。打者に的を絞られやすかった。鳴尾浜では、寮生の湯浅らに教えを請い、新たにフォークを習得。2カ月超の2軍生活で、泥沼から抜け出そうと必死だった。

本来の姿を示し、矢野監督も「いまのところ、一番後ろはケラーで行こうと。3人でいけて今後、チームが落ち着いていける」と単独守護神を明言。ケラーはお立ち台で日本語を披露した。「ソウデスネ。タイガースファン、サイコーデス」。春に傷ついた新助っ人が立派なサムライになった。【酒井俊作】

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