阪神才木浩人投手(23)が“プロ初完封”で4勝目を飾った。1日広島戦(甲子園)で先発し、自己最多タイの9三振を奪って6回無失点。代打を送られた6回裏に雨が強まって、コールドゲームで完封勝ちをものにした。阪神は苦手広島戦に3連勝し、勝率5割に復帰。4位巨人とのゲーム差を4に広げ、2日から甲子園で迎え撃つ。

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午後9時6分に試合は再開された。しかし、そのわずか1分後。甲子園を白く包む大雨で、試合はコールドに。神様から才木への贈り物か。6回3安打無失点での今季4勝目に「プロ初完投初完封」のうれしいおまけがついた。お立ち台の背番号35は幸運に笑みをこぼしながらも、頼もしく先を見据えた。「完封という記録がついて、いいことかなと思うんですけど、次に完封を取る時はしっかり9回投げきって、ゼロで終われるように。しっかり投げていけたらと思います」。

初回から三振を量産した。先頭の野間を直球で押し込み、最後はフォークで空振り三振と好スタートを切った。2回は2死二塁のピンチを背負ったが、会沢を空振り三振。その後も危なげない投球を続け、6回を自己最多タイの9奪三振でスコアボードに「0」を並べた。「ストライクゾーンでしっかり勝負できているということだと思う。三振を取るタイプだと思っているので、しっかり三振を取れるのはすごくいいこと」と自信を深めた。

20年に右肘のトミージョン手術を行い、リハビリの日々が続いた時。新たに足のトレーニングの効果を感じ取った。今までは漠然と足全体を鍛えていたが、足の裏、足首など細部にまでこだわって体の連動性の大切さを学んだ。「人間は地面に着いているのが足だけじゃないですか? 野球も地面から力をもらって、足から腕につなげて投げる。足のバランスを崩したら、上にうまく力が伝わらないので、結局肘に負担がかかって良いボールも投げられない。足の指や足首を、どう動かせば力が伝わるか、ちゃんと仕組みを理解しようとしました」。この日も甲子園の土を力強く踏み込みながら相手を翻弄(ほんろう)した。

矢野監督も「申し分なく、直球、フォークもすごくよかった。間隔を空けての中で毎回いい投球をしてくれています」とねぎらった。チームはこれで今季の甲子園勝ち越しが決定し、借金を完済。2日からは引き続き本拠地で4位巨人との伝統の一戦が控える。指揮官は「中継ぎも温存できるようなところまで、才木が持っていってくれた。いい形で、最高の状態で巨人戦にいける」と宿敵との対戦をにらんだ。【三宅ひとみ】

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