注目のドラフト候補、日体大・矢沢宏太投手(4年=藤嶺藤沢)が10球団23人のスカウトが見つめる中、二刀流で躍動した。投手として先発し7回を3安打1失点に抑えると、その後は指名打者を解除し、打席にも立った。試合は筑波大にタイブレークの末にサヨナラ負けしたが、ドラフト会議へ向けて、存在感を見せつけた。

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開幕戦を白星に導くことは出来なかったが、矢沢の高評価に変わりはない。ドラフト最注目の二刀流は「今日は自分が打てば勝てた。次は好機で1本打ちたい」と、すでに次の試合に気持ちを切り替えた。

投手としては7回3安打1失点と試合をつくった。「ストライクゾーン内で勝負出来れば、そこまで打ち込まれることはない」。スライダーなど変化球を中心に、この日最速145キロの直球を組み合わせ、制球重視を心掛けた。初回に振り逃げで1点を与えたが、その後は0を重ねた。降板後は指名打者を解除し、「5番右翼」に入った。2打数無安打も「強引に引っ張るのではなく、逆方向に丁寧に打つ意識で打席に入った。内容的には良かった」と手応えを感じている。

矢沢は今秋の目標に個人では「リーグ戦首位打者、最優秀投手」、チームとしては「日本一」を掲げる。その先には「ドラフト1位」が待っている。初戦の悔しさを糧に、残りの試合で大暴れする。【阿部泰斉】

▽日体大・古城隆利監督(矢沢の指名打者解除について)「ルールを調べたら、投手から指名打者へ入ることが出来ると。流れを変えたかったので」

▽中日・米村シニアディレクター 投手としても、打者としてもトップクラスの選手に間違いない。我々は立浪監督に対して「打つのも投げるのも、いい素材がいますよ」と提案するだけ。

▽ヤクルト橿渕スカウトグループデスク 変化球とのコンビネーションがいい。投手としても、野手としても魅力がある。

○…明学大のドラフト候補右腕、佐藤幹投手(4年=駿台甲府)が8回途中5安打2失点で今春王者の東海大を苦しめた。08年春以来の1部昇格を果たした初戦で、2-3と接戦で敗れた。「縦じま(東海大のユニホーム)を見たときは緊張しました。相手は良い打者ばかりなので、楽しむ気持ちを持って挑みました」と、笑顔を心がけた結果が善戦につながった。