日本ハム近藤健介外野手(29)がプロ野球史上314人目となる通算1000安打を“通過点”にして決勝弾を放った。西武戦(ベルーナドーム)の1回に右前打を放って節目に到達すると、8回に先制適時二塁打。さらに延長10回に7号ソロを左翼席へ運んで接戦にけりをつけた。通算999試合目の出場で大台を突破した打撃職人が、メモリアルな試合で自ら祝砲をぶち上げた。

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西日がベルーナドームの屋根とスタンドの間から差し込んできた延長10回。スポットライトのように、打席に入った近藤は照らされていた。カウント1-1からの3球目。8月9日にバースデーサヨナラ本塁打を放った西武増田から、再び右翼席へ決勝7号ソロをたたき込んだ。「最高の結果になって良かった」。打った瞬間に確信。ゆっくりと歩きながら、右手でガッツポーズした。

敵地でのヒーローインタビューで、堂々と言った。「まさか、こんなに打てるとは思っていなかったので、入った時には。でも、今となっては通過点なのかなと思っている」。1回に飛び出した通算1000安打目の右前打は、まさに“通過点”だった。8回には右中間を破る先制適時二塁打。そして、延長10回の決勝弾。節目を自ら祝う価値ある安打を積み重ねて、チームを勝利に導いた。

試合前には西武松井ヘッドコーチや栗山と談笑していた。小学4年の時に千葉マリン(現ZOZOマリン)で始球式をした際に投げた相手が、後に日米通算2705安打を放った松井ヘッドだった。「その時は(松井)稼頭央さんも(近藤の存在を)知らなかったと思う。プロになって栗山さんに打撃を教わる中で、栗山さんと稼頭央さんが仲良いみたいで一緒に食事する機会もあった」と述懐する。

とことん打撃を追求する姿は他球団の先輩たちにも認められていった。「バッティングを聞くとなったら、その2人」と、栗山や昨季限りで現役引退したソフトバンク長谷川打撃コーチの名前を挙げる。そんな熱意あふれる向上心で打撃技術を高め続けてきた11年間で、厳しいプロの世界でも確かな地位を築いてきた。

試合前に近藤のフリー打撃を見て内容の良さを感じていた新庄監督は、林ヘッドコーチに「今日、近藤君が決めよるよ。見といてみ」と予言していたという。「ヘッドコーチは(活躍するのは)今川君って言っていましたけど。“さすが”でしたね」と自画自賛した日米通算1524安打のBIGBOSSも、「全くの通過点ですよ」と、背中を押す。この節目はきっと、折り返しではない。近藤は「どんどんヒットを積み重ねていきたい」。上だけを見据えた。【木下大輔】

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