阪神糸井嘉男外野手(41)の今季限りでの現役引退が12日、発表された。糸井はこの日の午前中に、兵庫・西宮市のホテルで引退会見を開いた。

タテジマのユニホームを着て登場し、冒頭のあいさつで「このたび、糸井嘉男は現役を引退することに決めました。今まで本当にありがとうございました。昨日泣きすぎて一睡もしてないので、今日は泣きませんのでよろしくお願いします」と、ハキハキと言葉を発した。

現役引退を決断した心境について「いやー、もう、やりきりました。41歳まで野球ができて本当に幸せでした。この年までやらせていただいた阪神タイガースには本当に感謝しています」。理由については「みなさんが『超人、超人』って呼んでくれましたけど、もう超人ではないのかなと感じましたし。それは冗談で」と糸井節を挟みつつ、「この2、3年は自分の中で『引退』っていうことは常に頭にあった。成績もそうですし、打席での感覚だったり、ちょっと誤差というのは感じてました」と明かした。

19年間のプロ野球生活を振り返り「やっぱり長いようで短かったなと。僕の中ではやっぱり野手に転向という選択をしたあの出来事が、僕のプロ野球選手の土台でしたし、あの時必死にやっていた練習というのが、やっぱり土台かな、19年できたのかなと僕の中で思っています」と胸を張った。

今後については「みんな、『ゆっくりしたい』とかいうんですよね? まあ、あんまりゆっくりするタイプじゃないんで、まあ、筋トレとか? 筋肥大! 筋肥大したいですね、もうちょっと。パンプアップです」とニンマリ。ファンに向けては「本当に受け入れていただいて、僕としてもあの大声援の中で、できたというのは幸せですし、衝撃も受けました。本当に感謝しています。本当に19年間、ご声援ありがとうございました。これからはメガホンもって、一緒に甲子園で応援できればなと思います」と笑いを誘った。

会見の最後には坂本、糸原、佐藤輝がサプライズで登場し、花束をプレゼント。糸井は涙をこらえながら、3人と抱き合って感謝を伝えた。涙目の坂本が「糸井さん、現役生活お疲れさまでした。僕らのような生意気な後輩にもいつも同じ目線で親しく接していただいて、本当に幸せでした」とコメント。「最後になるんですけど、やっぱりやめるのやめるって言いません?」と投げかけ、糸井は「言おうかな? やっぱりやめます」と言い切った。

引退試合は今季甲子園最終戦の21日の広島戦(甲子園)を予定。会見に出席した百北球団社長は「具体的に申し上げられることはないんですけど、来季は何らかの役割をね、持っていただけたらと私は思っておりますので、決まれば発表させていただきます」とポストを用意していることを明かした。

糸井は近大から投手としてドラフト自由獲得枠で日本ハムに入団。3年目の06年から野手に転向し、才能が開花。走攻守にわたって活躍しオリックス、阪神と3球団で通算1726試合に出場。打率2割9分6厘、1754安打、171本塁打、765打点、300盗塁を記録した。独特のキャラクターも加わり、不動の人気を誇った「超人」が惜しまれながらユニホームを脱ぐ。

◆糸井嘉男(いとい・よしお)1981年(昭56)7月31日生まれ、京都府出身。宮津(現宮津天橋)から近大を経て03年ドラフト自由枠で日本ハム入団。投手では1軍登板なく外野手に転向し、4年目の07年にデビュー。13年開幕前に八木智哉とともに、木佐貫洋、大引啓次、赤田将吾との交換でオリックス移籍。09年から6年連続の「打率3割、20盗塁、ゴールデングラブ賞」はプロ野球初。14年首位打者、16年盗塁王。11、12、14年最高出塁率。16年にFA宣言して阪神に移籍。今季は開幕戦に「6番左翼」でスタメン出場し、4打数3安打、1本塁打、4打点の活躍。188センチ、99キロ。右投げ左打ち。

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