オリックス能見篤史投手兼任コーチ(43)が、今季限りでの現役引退を決断し、球団へ伝えたことが、15日までに分かった。近日中に引退会見を行い、引退セレモニーの実施も検討している。

能見は04年に自由獲得枠で大阪ガスから阪神に入団。20年までの16年間を阪神で過ごし、21年に投手兼任コーチとしてオリックスに移籍。移籍1年目の21年は、26試合に登板するなどコーチと選手の二刀流で、チームを25年ぶり悲願Vへと導いた。

オリックス移籍2年目の今季は4試合に救援登板し、0勝0敗、防御率は2・70。8月3日西武戦(ベルーナ)のマウンドを最後に、登板機会がなかった。

プロ通算18年間で通算473試合に登板し、104勝93敗、4セーブ、56ホールドを記録。先発、救援で活躍し、防御率は3・35だった。

今年6月12日の古巣阪神戦(京セラドーム大阪)でマウンドに上がった際は「中嶋監督の粋な計らいもあった。お客さんの数が去年と違って、ちょっと鳥肌立ちました。拍手の多さに」と、集った3万1855人のファンに感謝した。

白髪交じりの43歳が、右手でペンを持ってメモを取り、ニコッと笑う。細身のスタイルは健在で、若手投手陣とダッシュの競走をしても全然負けない。

昨季、悲願Vを成し遂げた際には「もう、僕はボールが速いわけではない。でも、意外と真っすぐで押せるんだなと(若手に)感じてほしい。そのひとつのサンプルとして僕を見てほしかった」と“生きる教科書”として献身的に指導。

若手投手陣から信頼され、慕われる現役最年長投手。鉄の左腕が、そっとボールを置く。

 

★能見兼任コーチの記録 

▼シーズン最多奪三振 阪神時代の12年に172奪三振でタイトルを獲得。

▼連続試合2桁奪三振 阪神在籍時の14年にセ・リーグ新記録の5試合連続2桁奪三振をマーク。

▼最年長で通算1500奪三振 オリックス移籍後の21年5月8日のロッテ8回戦(ZOZOマリン)の9回、レアードを空振り三振に仕留めて達成。41歳11カ月での達成は07年小宮山悟(ロッテ)に並ぶプロ野球最年長記録。

▼2球団で最年長セーブ 阪神時代の20年11月11日に41歳5カ月でセーブを記録し球団最年長記録を塗り替えた。オリックスでは41歳11カ月でセーブを挙げた。球団では07年7月7日吉田修司の40歳7カ月を抜く最年長セーブとなった。40代になってから2球団でセーブを挙げたのは初めて。

▼2球団で最年長ホールド 阪神時代の20年に41歳5カ月で球団最年長ホールド。オリックスでも42歳0カ月で球団最年長ホールドを記録しており2球団で最年長ホールドをマーク。40代で2球団で最年長ホールドを記録したのも史上初。

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