3位阪神がAクラス死守へ残り6試合を一戦必勝のスクランブル態勢で挑む。矢野燿大監督(53)は「全部勝つつもり」と全勝を宣言。20日のDeNA戦(甲子園)から、藤浪晋太郎投手(28)と西純矢投手(21)を先発が崩れかけた際に即注ぎ込む「第2先発」としてブルペン待機させる。また、21日の広島戦(甲子園)が引退試合の糸井嘉男外野手(41)はベンチ待機が濃厚。下克上日本一へ勝利最優先の非情采配に徹する。

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残り6試合の最終コーナーで、矢野監督がムチを入れた。「大混戦になっているんで。最後の最後まで分からないと思う。やるしかないんで。前を向いて。しょんぼりしてもしゃあない。残りの試合、全部勝つつもり」。甲子園で全体練習を視察し、力を込めた。

この日のヤクルト戦は台風接近の影響で中止となったが、3位広島と同率3位。仮に同率でシーズンを終えれば、セ・リーグの順位決定方式により、今季阪神戦に勝ち越した広島が上位になる。つまり、同率なら阪神はクライマックスシリーズ(CS)に出られない。さらに、この日勝った5位巨人にも2毛差の0ゲーム差に肉薄。阪神は自力でのCS進出も消滅しているだけに、勝つしかない。広島とは直接対決2試合もあるだけに、残り6戦全勝宣言に強い覚悟がにじんだ。

短期決戦、トーナメントのごとく一戦必勝を期す。この先は試合間隔も空くことから、20日のDeNA戦から、投手陣に「第2先発」を配置する。金村投手コーチが「中に入ってもらう」と明かした投手は、ローテで回っていた藤浪と西純だ。藤浪は今季2勝ながら安定感を取り戻し、中継ぎでも豊富な経験を積んでいる。西純は1軍14試合はオール先発ながら今季6勝をマーク。先発の状態が厳しいと判断すれば、早め早めの投入で決壊を防ぐ。前日18日ヤクルト戦で26度目の完封負けを喫するなど、多くの得点を望めそうもないだけに極力失点を減らす。

21日広島戦が引退試合となる糸井にも、断腸の思いで我慢してもらう。矢野監督は「嘉男も分かってくれていると思う」とベンチスタートが濃厚な方針を明かした。本来なら1754安打を放ち、一時代を築いて絶大な人気を誇る「超人」をスタメン起用して花道を作ってあげたい。引退試合をファンと盛り上げたい。だが、すべては糸井と一緒にCSに行くためで、勝利第一の非情采配に徹する。

4年目の今季限りで退任するが、2リーグ分立後の阪神監督で全てAクラスなら近年異例。現在借金4だが、6連勝なら貯金2でフィニッシュできる。「エラーで負けたり点を取れない試合はファンの人に見せたくない」。優勝は逃したが下克上日本一への道はつながっている。集大成の6番勝負になる。【石橋隆雄】

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