オリックスが逆転サヨナラ勝ちで首位ソフトバンクに3連勝し、0ゲーム差に肉薄した。敗戦目前の9回2死から吉田正尚外野手(29)の適時打で追いつき、延長10回2死満塁で宗佑磨内野手(26)が劇的安打を放った。4-0から逆転される苦しい展開だったが、ネバーギブアップで大きな白星をゲット。残り6試合、95~96年以来のリーグ連覇へ一気に突っ走る。

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拍手喝采のスタジアムで、興奮を胸に押さえ込んだ。オリックス吉田正が1点を追う9回2死一、二塁から起死回生の同点適時打を放った。

「僕も痺れました。重苦しい雰囲気で守護神(モイネロ)から塁に出てつないでくれた」

高揚感に包まれるグラウンドで冷静さを保った。アウトになれば試合終了-。悲願の連覇も遠のく打席だった。「プレッシャー…。良い場面なのでドキドキやワクワク感はありますよね。常に平常心で(打席に)入れるように」。素振り2回&投手に正対して打席の後ろから進んでいく独自のルーティンを崩さず、初球146キロのスライダーをライトに運んだ。二塁走者の福田が執念のヘッドスライディングで生還。ファンも一緒に両腕を突き上げた。

絶体絶命の場面から延長戦に突入。4時間47分の激闘は、延長10回2死満塁から宗がセンターへサヨナラ打を放ち、ピリオドを打った。お立ち台では「最後、やってくれると思ってました。(守備で)苦しいプレーもありましたけど、決めてくれる男だと」と劇的勝利に涙を流した後輩を思いやった。

今季8度目の3安打猛打賞で、今季自身最多の4打点。マッチョマンのバットが、チームを浮上させる。初回には右翼席へ19号先制2ランを放ったが「ちょっと…、もう忘れてしまっています。本当に、この勝利は大きいので」と苦笑い。応援グッズである黄色、赤、金色の「正尚ダンベル」が、京セラドーム大阪の青い客席で弾んだ。

シーズン最終盤の首位攻防3連戦で3連勝を飾り、2位ながらゲーム差0に急接近。今季のソフトバンク戦を15勝10敗と勝ち越したため、シーズン終了時に勝率が並ぶとオリックスが順位を上回る。

中嶋監督はサヨナラ劇場に「ベンチも誰1人諦めてなかった。絶対にひっくり返す気持ちだった」と強く拳を握った。貯金9は今季最多を更新し、残り6試合。指揮官は「(今カード)3つ取って(優勝の)挑戦権。これで始まりぐらいの感じ。終わりじゃない」と頂点を見据えた。吉田正も「これで並んだ。僕らが勝ってプレッシャーかけれるようにしたい」。昨季V時は右手首骨折で離脱していた選手会長が、今季こそ頂きに駆ける。【真柴健】

【ニッカン式スコア】19日のオリックス-ソフトバンク戦詳細スコア