京大は、史上初めて複数選手が10月20日のドラフト指名される可能性が出てきた。これまで最速152キロ右腕・水口創太投手(4年=膳所)がプロ注目で、プロ志望届を提出した。バッテリーを組む愛沢祐亮捕手(4年=宇都宮)も新たに20日にプロ志望届提出が発表された。京大から指名されれば、14年ドラフト2位でロッテに入団した田中英祐投手以来の快挙となる。

この日は愛沢が要所を締める好リードを見せ、投手戦を演じた。1回無死一塁ではキッチリ二盗を阻止。正確なスローイングが光った。8回から水口が登板したが、速球が上ずる。カウントも不利になると、変化球多投に切り替えた。2死満塁の窮地を右飛で切り抜けた。9回も1死三塁から2者をスライダーで空振り三振。ピンチを脱した。

プロ志望届を出した愛沢は「ここまで高いレベルで大学野球をやらせてもらってまったく通用しないわけじゃない。もう1つ上のレベルでプレーできるチャンスがあるなら挑戦したい」と意気込んだ。野球センスが光る守備の要だが、宇都宮高では、下手投げ右腕だった。4月の春季リーグ関大戦で初登板。4回まで2安打無失点の快投を演じ、関大から1982年(昭57)以来40年ぶりに勝ち点を獲得した立役者だった。左打ちでシュアな打撃も持ち味。5月の近大戦で本塁打も放った。

また、水口は医学部に在籍。人間健康科学科で理学療法を研究し、球界では異色の存在だ。春季リーグは病院実習と重なり、登板すらままならなかった。12月の発表会に向けて投球障害に関する卒業論文を書く予定だが、野球中心の生活を過ごす。この日の試合後「変化球の調子がよかった。変化球中心に変えました。(いまは)野球に集中できています」と話した。

運命のドラフト会議まで1カ月を切り、日本トップのインテリジェンス集団からバッテリーでプロ選手が誕生するか注目が集まる。

◆愛沢祐亮(あいざわ・ゆうすけ)2001年(平13)1月9日生まれ、栃木県宇都宮市出身。宇都宮では2年から投手。京大では二塁手、中堅手を経て3年春から正捕手。アンダースローでの最速は128キロ。文学部に在籍し、卒業後も野球を続けることを希望。好きな女優は新垣結衣。座右の銘は「負けは今の力の認識であっても弱さの証明ではない」。169センチ、75キロ。右投げ左打ち。

◆水口創太(みなくち・そうた)1999年(平11)8月9日、滋賀・大津市生まれ。晴嵐小2年時に野球を始めた。北大路中では軟式野球部に所属。膳所(滋賀)を経て1浪後に京大に入学した。当時は最速130キロ台後半だった。憧れのプロ野球選手はパドレス・ダルビッシュ。194センチ、94キロ。右投げ右打ち。