寝た子を起こすな! 阪神梅野隆太郎捕手(31)が、クライマックスシリーズ進出のためにも、ヤクルト村上封じに全力を尽くす。敵地に乗り込む前に甲子園で調整。「勝負するからには抑える努力をしていかないと。残り3戦、同じチームなのでバッテリーの中でしっかり状況を考えながらやっていきたい」と、バッテリー陣の総力を結集し抑える。

55号を放った後、村上は9試合、40打席ノーアーチが続いている。9月は打率2割2分1厘と状態を落としているが、前日25日にリーグ優勝を決めたこともあり、巨人王貞治を超える日本選手単独トップの56号を狙うために打席の多い1番打者での出場も予想される。「優勝も決まって、いい意味で吹っ切れるかもしれない。どういう打席の内容を送っていくかは見て判断したい」。データだけでなく肌で感じるものを大事にするつもりだ。

3冠王を狙う村上には、今季阪神も1試合3発など痛い目にあってきた。だが、被本塁打7本、17打点はセ5球団の中で一番抑えている。打率2割8分2厘も巨人の2割6分2厘についで2番目に低い。27日の先発青柳、28日先発の伊藤将は1本ずつ本塁打を浴びている。伊藤将は8月17日に神宮で試合を決める3ランを食らった。このときの捕手は梅野だった。「あれだけのいい打者をどうやって抑えていくかという楽しみもあるけど、それでチームが痛い目にあうのもどうかと思う」と同じ失敗はできない。

金村投手コーチも「こっちだって負けられないし、塁が空いているとか、次の打者と比較した時に、ピンチの場面では(歩かせることに)間違いなくなると思う」と、不調でも歩かせる考えだ。「村神様」を封印できれば、奇跡のCS進出は、グッと近づく。【石橋隆雄】

○…青柳が“8度目の正直”で13勝目を目指し、27日の敵地ヤクルト戦の先発マウンドに上がる。自身最長タイの7試合連続で勝ち星がない右腕は、甲子園でキャッチボール、ダッシュを行い、登板に備えた。CS進出へ絶対に負けられない一戦で、同時に最優秀防御率、最多勝、最高勝率のタイトルもかかる。矢野監督は「もちろんタイトルは取らせてやりたいけど、チーム優先はここまで来て当たり前のこと。ヤギも分かっているし」と早めの交代も辞さない構えを示した。

○…近本が一戦必勝を誓った。27日からのヤクルト2連戦に向け「僕たちにできるのは目の前の1試合に向けて準備をして臨むということだけ。今まで通り目の前のプレーに集中するだけです」と言った。試合のなかった3日間で中日岡林に抜かれ153安打はリーグ2位タイ。打率は3割目前、2年ぶりの30盗塁には王手をかけており、個人記録にも注目が集まる残り3試合になる。

○…金村投手コーチが才木を中継ぎとして待機させる可能性を示唆した。23日の敵地広島戦では先発として3回1失点と力投。その後も出場選手登録されており「いろんな可能性を含めながら、残してます」と説明した。投手陣は総力戦で逆転CS進出を決める。

○…岩貞が逆転CSへ全精力を注ぐことを誓った。シーズン前に掲げた「50試合登板」をクリアした左腕は「『CS行くぞ』という気持ちで投げます」と気合十分。スクランブル登板の可能性が高いが「みんなで27個のアウトを取ることに尽きると思う。どこで投げても1個のアウトは1個のアウトというところで、全力で自分の仕事を全うしたい」と力を込めた。

○…浜地が万全を強調した。コンディション面の不安があり、20日のDeNA戦を最後に登板間隔を空けていたが、「問題なくという感じです」と説明。今季50試合に登板している右腕は残り試合へ向け「本当に全部勝たないといけない。CSに出たいですし、任されたところをゼロで抑えることを考えて投げていきたい」と意気込んだ。