流通経済大が3季連続33回目の優勝を決めた。

9回に1点を返され、なお2死一、三塁のピンチ。ベンチからは「練習通り!」と声が飛んだ。マウンドの阿部優太投手(3年=前橋育英)は、心を落ち着かせてスライダーで空振り三振に仕留め、マウンド上でガッツポーズを見せた。優勝投手に輝くのは野球人生で初めて。「気持ちよかったです」と笑顔を見せた。

初回からキレのいい真っすぐとスライダーを軸に打たせてとり、6回まで1安打投球。9回に「疲労が出て、球威が落ちてしまった」と1点を失ったが、「4年生の最後の試合で負けられない。でも、練習してきた通りを出せばいい。気持ちだけは最後まで切らさずに投げたのがよかったです」と6安打1失点で完投。優勝に導いた。

悔しさを糧に成長した。昨年はベンチ入りするも防御率4・37と結果を残せず。秋は優勝に沸くチームの中で「悔しかった」と、心底喜べなかった。

冬は改めて投球を見直し「それまでは球速にこだわっていたが、体のケアや走り込みを多くして、真っすぐのキレや制球力を身に付けるようにしました」。今秋は丁寧な投球で試合を作った。この試合の9回も練習の成果を出すことだけに集中。自分の投球を貫き「これからの自信になります」と胸を張った。

高野重弘監督は「この1年、『成長』をテーマにやってきた。チーム一丸となって、その成果を発揮してくれた。選手たちの頑張りに尽きます」と、選手たちを温かく見つめた。11月7日からは、明治神宮大会出場をかけ、関東地区大学野球選手権に挑む。【保坂淑子】